接合・溶接技術Q&A / Q01-03-05

Q突合せ溶接継手にアンダーカットが生じたのですが,溶接継手強度を考えたとき,その処置はどのようにするのが適切ですか。また,繰返し荷重がかかる場合はどうでしょうか。

アーク溶接では,溶接棒の種類,運棒方法などに配慮してアンダーカットを生じないようにすることが重要である。アンダーカットは構造の強度,特に繰返し荷重を受ける場合の疲労強度には大きな影響を与える。通常の静的な荷重が支配的な構造物では,板厚の数%あるいは0.5mm程度のアンダーカットは許容するようになっている。しかし,繰返し荷重を受ける場合には,アンダーカットの深さが2mm以下では継手の疲労強度はアンダーカットの深さに依存せず,健全な継手のそれの50%以下にも低下することが知られている。したがって,アンダーカットは作ってはならないし,それが生じたときには適切な処置が必要となる。

生じたアンダーカットの処置については,その深さが著しくない限り,そのままあるいはグラインダなどで滑らかに仕上げることで充分であるが,深いものは溶接補修などが必要となる。一般にアンダーカットの許容基準は,許容規定値と許容限界値が決められ,許容規定値を超え許容限界以下のものはなめらかに仕上げる方法が取られる。表1は船舶外観の定量的検査ならびに管理基準(日本溶接協会)に示されている許容基準の一例である。ただし,この基準は,対象構造物が受ける荷重状態に大きく依存し,先に述べた繰返し荷重が支配的な構造においては,明らかなアンダーカットは一切許容されないことが多い。

〈豊田 政男〉

このQ&Aの分類

溶接設計の基本事項

このQ&Aのキーワード

溶接継手のアンダーカット処置

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