接合・溶接技術Q&A / Q01-04-04

Q溶接中に開先が閉じたり開いたりするのはなぜですか。また,仮付けが割れたり,終端割れが生じる原因は何ですか。

アーク等の溶接熱源や形成された溶融池によって,溶融池付近の母材は熱膨張する。したがって,熱源の前方にストロングバック(拘束材)や仮付け溶接のない平板の突合せ溶接などでは,溶接中の溶接線方向の熱膨張によって回転変形(Q1―4―3の図1参照)が発生して,図1のように開先は開く1)。その開き量は溶接の進行とともに大きくなり,最終的には溶落ちが発生して溶接できなくなるので,通常はストロングバックや仮付け溶接で回転変形を抑制する。

一方,溶接熱源の前方(まだ本溶接されていない側)にストロングバックや仮付け溶接がある場合は,異なった現象を示す。ストロングバックの場合は,溶融池前方の開先は溶接前の状態より狭くなり,その閉じ量はある範囲内で規則的に変化するだけである。それに対して,前方に仮付け溶接がある場合は,図2のように溶接熱源によって仮付け溶接が①→②→③→④→⑤→⑥の順に溶融するために開先の閉じ量が徐々に小さくなり,最終的には開先が開く現象2)が発生する。その現象に伴って仮付け溶接部には図3に示すような引裂き力3)が発生するために溶接前方の仮付け溶接が割れたりする。また,最終の仮付け溶接が溶融するときは,図のように大きな引裂き力が凝固中の溶融池に作用して高温割れを発生する。これがサブマージアーク溶接などで発生する終端割れの原因である。

参考文献

1)佐藤邦彦編:溶接構造要覧,黒木出版社,p.134,(1988)

2)佐藤邦彦,寺崎俊夫,野原和宏:溶接学会誌,50巻4号,p.392,(1981)

3)佐藤邦彦,寺崎俊夫,野原和宏:溶接学会誌,49巻12号,p.882,(1980)

〈吹田 義一〉

このQ&Aの分類

溶接変形

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開先の開閉と終端割れ

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