- 接合・溶接技術Q&A / Q02-01-05
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Q炭素鋼を各種熱切断法にて,精度よく,かつ,きれいに切断する際の切断能力は切断方法によりどの程度異なりますか。
各種の熱切断法にはそれぞれの長所があり,また,その長所を利用して,それぞれの切断法が各分野で利用されている。図1に各分野での切断対象板厚範囲および代表的な熱切断であるガス切断,プラズマ切断およびレーザ切断の適用板厚範囲を示す。これらの切断法は,すべて同一の切断品質を示すのではなく,それぞれ品質は微妙に異なる。
図1は,切断機メーカが開示している切断条件表をまとめたものである。この意味では,図1に示される各切断法の適用板厚範囲が,そのまま,炭素鋼を精度よく,かつ,きれいに切断する際のおおよその切断能力といえる。
しかし,すべて同一の切断品質を示すのではなく,それぞれ品質は微妙に異なる。
一般的な傾向としては,プラズマ切断は,品質面,特に開先角度の精度でガス切断より,1ランク落ちる傾向にあるが,最近は,ガス切断に匹敵する高品質プラズマ切断法も開発されている。レーザ切断は,開先切断の技術がまだ完成されていないが,垂直切断に限れば,ガス切断の最上位に位置する切断品質が得られている。
現在,切断面の品質基準となるものには,例えば,JIS B 0417および日本溶接協会規格であるWES 2801があるが,これらはすべてガス切断についての品質基準である。現時点では,プラズマ切断およびレーザ切断に関しては,ガス切断の品質基準に準じて行われている。
ISOはガス切断,プラズマ切断,レーザ切断をまとめた品質基準*を制定しているが,まだ,実用性に疑問があるのか,普及に至っていない。
* ISO 9013:2002 Thermal cutting Classification of thermal cuts Geometrical product specification and quality tolerances
参考文献
1)上野等:レーザー切断機のパワーアップと高速化の現状,(社)溶接学会関西支部平成9年度シンポジウム資料,(平成10年3月20日)〈藤井 俊英 / 2012年改訂[加筆・一部修正]〉