接合・溶接技術Q&A / Q02-01-06

Q熱切断による炭素鋼の開先加工を行う際の注意事項を教えてください。

現在,開先に用いられている形状は,一般的には,I,V,Y,X(K)がある。ガス切断は,これらすべての開先加工に対して適用されているが,プラズマ切断では,I,V開先が主で,特殊な場合にY開先加工が行われている。レーザ切断は,従来,I開先のみであったが,近年,V開先加工も可能となった。以下ガス切断,プラズマ切断およびレーザ切断を用いて開先加工を行う際の一般的注意事項を記す。

(1) ガス切断

ガス切断による開先加工では,I開先は,通常の切断であり,その開先加工には問題がないが,その他の開先形状ではI開先加工には見られない工夫が必要となる。その最も大きなものが実質の切断板厚に対する配慮と予熱炎の調整である。

ある切断材を開先加工しようとすれば,当然のことながら,その角度ともに実質の切断板厚が増大する。通常,ガス切断が可能な開先角度は45°以内である。使用する火口は,実質の切断板厚および開先角度に応じたものを選ばなければならない。

他の重要項目である予熱炎の調整は,通常の切断(I開先)ではメーカ推奨条件でよいが,その他の開先切断ではメーカ推奨より大きな予熱炎(予熱酸素流量,予熱ガス流量をともに多く流す)を作らなければ,ガス切断による開先切断特有の「ノッチ」が発生する場合がある。

この予熱炎の大きさは,予熱によって切断部の上縁が溶けない範囲で,かつ,開先角度が大きくなればなるほど大きくする必要がある。もし,大きな予熱炎を作らない場合は,切断する火口に先行して,さらに,1本火口を用意し,予熱炎のみを点火し,切断部を加熱する必要がある。

以上は,通常の開先加工の一般的な事項であるが,ガス切断は,Y,X,Kの開先切断に対して,同時2本もしくは3本あるいはそれ以上の火口をユニット化し,これに旋回機能をもたせて切断する事がある。この場合は,ガス切断特有の火口の配列が存在する。すなわち,ガス切断では,ガス切断によって生成された切溝を飛び越えて,切断することができないという事実に基づいて,火口配列が定められている。

図1に,Y,X開先切断の場合の火口の配列の例を示す。なお,この場合,切断進行方向前方に1本,加熱用の火口が配備される場合がある。また,後方および真中の火口予熱炎は,前方の火口の切断により材料が加熱されているので,1本の火口による開先加工とは異なり,小さくする必要がある。

形切断の全周開先は,切断開始部,終了部の処理が難しく,困難である。また,円弧の開先加工も可能となるが,切断進行方向に対して,火口間に前後差があるため,形切断の形状に制約が生じる。いずれにしても,メーカに問い合わせる必要がある。

(2) プラズマ切断

プラズマ切断は,現在,一般的には,I,V,Yの開先加工が行われている。

I開先加工は,ガス切断と同様,垂直切断そのものであるが,切断面は垂直とはならず,プラズマ切断特有の傾斜角が発生する。このため,あらかじめこの傾斜角を想定したプラズマトーチの角度設定が必要となる場合がある。この配慮はVおよびY開先切断においても同じである。

プラズマ切断によるVおよびY開先においても,ガス切断と同様,実質の切断板厚を考慮する必要があり,実質の切断板厚に応じた切断条件の設定が必要となる。この場合で注意しなければならないのはプラズマトーチの角度である。プラズマトーチはガス切断で用いる火口と異なり,プラズマトーチ先端部が太い。その結果,角度の設定によってはプラズマトーチが切断材と接触する場合があるので注意を要する。

プラズマ切断による開先加工は,プラズマトーチ1本を用い,これに角度設定機構や旋回機能をもたせて行われる。切断条件は,基本的には,開先切断の実質板厚にしたがって設定されている。Y開先加工において,同時2本のプラズマトーチによる切断が行われる場合がある。この場合のトーチ配列は,垂直切断が先行,開先切断がそれに続く場合と,この逆の場合がある。使用目的によって選択される。

(3) レーザ切断

近年,レーザ切断においても,V開先切断が可能な切断機が市場に提供されるようになった。Y開先も一部可能であるが,レーザヘッド1個による2度切りが採用されている。

開先切断の機構は,切断手段(ガス切断;切断酸素,予熱炎,プラズマ切断:プラズマアーク,レーザ切断;レーザビーム)が異なるだけで,基本的には,角度設定機構と旋回機構を有している。切断条件も,基本的には,ガス切断,プラズマ切断と同様の考え方で,開先の実質板厚がその支配因子となっている。

〈藤井 俊英 / 2012年改訂[加筆・一部修正]〉

このQ&Aの分類

開先準備

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熱切断による開先加工製品名:船舶・橋梁材質:炭素鋼施工法:ガス・プラズマ・レーザ切断

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