接合・溶接技術Q&A / Q02-01-09

Q低水素系溶接棒を使用するに当たって,乾燥との関係を教えて下さい。

図1に低水素被覆アーク溶接棒の吸湿状況と吸湿による溶着金属の拡散性水素量の変化の一例を示す。この図にみるように,被覆剤中の水分は放置時間だけでなく,気温および相対湿度の影響が大きいこと,また,この水分増加が溶着金属の拡散性水素量の増加につながることが分かる。

この水分を除去するため,メーカーで十分に乾燥され,包装の行き届いたものであっても,使用前にもう一度乾燥(再乾燥)を行わなければならない。

低水素系溶接棒は,規格および銘柄にもよるが,一般には使用前に300~400℃の温度で30~60分乾燥する。乾燥温度,時間は表1に例示するように鋼種,銘柄ごとに適正条件が定められているので,これに従い規定の範囲を逸脱してはならない。乾燥後,直ちに使用しない時は100~150℃の温度に保たてる保管容器に入れておき,ここから取り出して使用する。乾燥後の大気放置時間も制限する必要がある(通常2~4時間)。もし,この制限時間を超えた場合には,同様に再乾燥処理をしなければならない。

一般に,低水素系溶接棒は他の被覆系に比べ乾燥温度が著しく高い。理由は,高温に焼かないと除去できない性質の水の成分が含まれているためである。このため欧米では,ベーキング(baking:かま焼き)という言葉が使用され,他の被覆系の溶接棒の水分除去の乾燥と区別している。

参考文献

1)(社)溶接学会:溶接・接合技術概論,産報出版(株),p.130,p.293,(平成10年3月)

〈飯塚 眞平〉

このQ&Aの分類

溶接材料

このQ&Aのキーワード

溶接棒の吸湿と乾燥

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