- 接合・溶接技術Q&A / Q02-01-14
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Q溶接用キャブタイヤのサイズはどのように決めるのがよいですか。
溶接機の二次側に用いられる溶接機からホルダーまでの導線(溶接用ケーブル)について,使用に当たっての留意点を以下に述べる。
(1) 溶接用ケーブルの規格について
溶接用ケーブルはJIS規格(JIS C 3404)に定められている。したがって,規格に適合したものを使用しなければならない。
規格には,1種と2種ならびに導線用とホルダー用の区分がある。1種は天然ゴムキャブタイヤで被覆され,2種はクロロプレンキャブタイヤで被覆されている。後者の方が燃えにくく,耐久性も良いので,比較的長くなりがちな溶接機からホルダー付近まで導線用としては,2種の採用が望ましい。ホルダー付近は,ケーブル・コネクターで分け,作業員の操作性とケーブルの耐久性を配慮しつつ,太さならびに1種2種の差も考慮の上,ホルダー用から選ぶのがよい。
(2) ケーブルの太さと長さ
溶接導線用ケーブルの太さは,使用溶接電流とケーブル長さによって決める。ケーブルに許容電流を越える過大電流を流すと,過熱して絶縁が劣化し,漏電の危険が生じたり,絶縁被覆が燃えたりするので,溶接電流の大きさに応じた十分な太さのものを選定する。
表1にケーブル太さ選定の目安を示す。
(3) ケーブル・コネクターについて
溶接用ケーブルを接続する場合,ケーブルを直接接続することは望ましくなく,ケーブル・コネクターを使用する。ケーブルを必要以上に長くしないためにもケーブル・コネクターは有効であるが,溶接機の端子付近にも使用することが望ましい。
ケーブル・コネクターは,必ず電源側にメス形のものを取り付けなければならない。これはコネクターを外したとき,通電部の露出を防止するためである。
この他,溶接作業休止時,コネクターを利用してホルダーを外しておくことは,安全上非常に大切な点である。
(4) ケーブル配置上の注意点
溶接用ケーブルが長すぎたり,コイル状に巻かれていたりすると,交流アーク溶接機では電圧降下が大きくなり,出力電流が著しく減少する。また,アーク起動,再点弧用の高周波は導体中で減衰しやすいから,ケーブルはできるだけ短いのが望ましい。
配線に当たっては,ロボットなどの制御装置および制御ケーブルとは一定の距離をとり,ノイズの防止を計る必要がある。
〈飯塚 眞平〉