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The Japan Welding Engineering Society

  

   

▼No.

Q02-01-15

 

▼小分類

溶接機器の準備・保全

 

▼キーワード

溶接のアース結線

 

 溶接技術教育シート
  (IIWシラバス)
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溶接のアース結線に当たって,どのようなことに注意するべきですか。

  

  

この質問のアースの意味は,溶接機本体を接地させる目的のアースではなく,溶接機二次側のアース帰線(母材側配線)に関することと解釈して回答する。

溶接機の二次側配線は,大別してアーク発生までのホルダー側と以後の母材側との2系列に分けて取り扱われている。電流は,ホルダー側配線にも母材側配線にも同じ大きさのものが流れているにもかかわらず,とかく帰線の母材側配線は軽視されがちである。そのためアークの不安定を招いたり,思わぬところで分流電流による火花を発生させたり,感電の危険性さえ呼んでいる。また,ケーブルの接続が不完全であると,接続部の加熱や焼損事故を起こすことがある。

したがって,溶接作業に当たっては,溶接機から母材(被溶接物)まで,完全なアース線を設備し直接接続するか,または溶接定盤に完全に接続するようにしなければならない。以下,母材側配線に関する2~3の参考例を示す。

(1) 母材との接続

母材側配線(アース帰線)の導線を母材(被溶接材)に直接巻き付けるなど,安易な接続を行うと,その部分の接触抵抗が増大し,前述したように,過熱,電圧降下などの弊害が起こる。したがって,母材側の端末には図1に示すようなクランプなどを用いて確実に接続しなければならない。

(2) 母材の接地

母材の電位が上昇することを防止するため,母材(被溶接材)またはこれを保持する装置(治具,定盤等)には,図2に示すように第3種接地工事を施す。図中の点線のようにアーク溶接機の近くで接地すると,溶接電流の分流を促すことになり,溶接電流が母材側配線以外に流れ,思わぬところで火花が出たり,過熱の事故が発生することがあるので,行ってはならない。

(3) 母材側配線を共通するときの問題

数台の溶接機を使用するとき母材側配線(アース帰線)を共有させると,他の溶接機の電流が流れているときといないときで電圧降下の差が予想外に大きくなることがある。このため,母材側配線の容量に余裕がない場合は,アーク不安定となる。したがって,母材側配線(アース帰線)は独立に設置することが望ましいが,共有させるときは十分余裕のある配線をしなければならない。


参考文献

1)中央労働災害防止協会:アーク溶接等作業の安全,pp.47-48,(平成4年3月)

〈飯塚 真平〉