接合・溶接技術Q&A / Q02-03-04

Q850Kの温度で長時間使用した際にSUS347鋼フランジと配管の熱影響部に割れが生じましたが,この割れはどうして発生したのですか。また,この割れ発生を防止するにはどうしたらよいのですか。

SUS347安定化オーステナイト系ステンレス鋼母材は通常NbCの形で炭素が固定されているが,溶接によりボンド近傍の熱影響部領域ではNbCが解離して過飽和の炭素がマトリックス中に固溶している。この状態で850~1000K位の範囲で長時間使用すると,Nb+C→NbCの形で針状炭化物がマトリックス中に析出し,粒内強化が生じ,溶接残留応力の粒内すべり変形による緩和を阻止する形となり,粒界に応力が集中して,応力集中の最も大きい三重点での粒界剥離を起点として割れが進展する→再加熱割れ。

この割れは厚肉の配管に多くみられ,溶融線に水平で垂直方向に伝播するのが一般である。Puzak,Apblett,Pellinらの研究によれば,この種の割れは粗粒域で起こりやすく,細粒でほとんど発生しない。YoungerおよびBakerの研究によれば,割れは16Cr-10Ni-2Mo鋼を除き,オーステナイト系ステンレス鋼ではSUS347以外でも条件によっては発生する。

また,この割れの感受性は析出した炭化物の比容積(オーステナイト格子を1として)が大きい程大きい。

割れの防止方法としては次のことが推められる。

① 溶接後1120~1170Kに急速に加熱する。

② 高温変形能の大きい溶接材料の使用。

③ 溶接余盛の平滑化処理。

参考文献

1)渡辺・斉田:高温使用の安定化オーステナイトステンレス鋼の脆化について,石油学会誌,Vol.16,18,(1973,1975)

〈渡邊 竹春 / 2012年改訂[単位修正]〉

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ステンレス鋼

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割れ防止法

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