接合・溶接技術Q&A / Q02-03-09

Q900Kの3年間使用したSUS321加熱炉管の溶接熱影響部にポリチオン酸応力腐食割れが検出され,溶接補修をすることになりましたが,どのような手順で行ったらよいですか。

重質油処理装置の加熱炉管は,約450℃の高圧水素および有機硫黄または硫化水素を含む流体を取り扱うため,硫化物腐食および水素浸食が問題となる。このため,材料はオーステナイト系ステンレス鋼が選定されるが,加熱炉管の金属温度は550℃程度となるため,鋭敏化に起因したポリチオン酸応力腐食割れ防止対策の面からSUS321などの安定型オーステナイト系ステンレス鋼が通常適用される。

ポリチオン酸応力腐食割れは,長期使用により管内面に生成した硫化鉄および水分,酸素が共存する環境以下になった場合に,生じると言われている。このため,運転面からは装置停止の段階でポリチオン酸が生成しないように,下記複数の割れ防止策に採るようNACE RP0170-85で推奨されている。

(1) 酸素が系内に入らないように酸素を含まない乾燥した窒素ガスでパージを行う。

(2) 2wt%ソーダ灰溶液でアルカリ洗浄する。

このような注意を払って材料選定し,運転したにもかかわらず割れが生じた場合,下記手順で溶接補修することが推奨される。

(1) 割れが発生した加熱炉管の除去範囲の決定

●加熱炉管の分析を行い,安定型ステンレス鋼であることを確認する。

●割れ除去後の加熱炉管の健全性を液体染色探傷試験などの非破壊検査により確認する。

(2) 上記検討結果を基にした割れ発生範囲の加熱炉管切除

(3) 加熱炉管内部の硫化スケールの除去

(4) 既存加熱炉管の寸法(内外径,全長)に合わせたSUS321加熱炉管を347溶接棒を用いて復旧する。

〈石井 邦雄〉

このQ&Aの分類

ステンレス鋼

このQ&Aのキーワード

溶接補修手順

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