接合・溶接技術Q&A / Q02-03-19

Qチタン・ジルコニウムとその合金の溶接において,その溶接部に対するアルゴンガス(一般的には不活性ガス)シールド方法の良否が,その健全性を左右する必須要因と聞いております。不活性ガスシールドについて一般的に教えて下さい。また,ガスシールドの良否の判定はどのようにしたらよいか。変色程度の合否判定基準見本のことも含めて教えて下さい。

(1) チタンおよびジルコニウムは極めて活性な金属であるため,400~500℃程度の比較的低温でも大気と容易に反応し,微量のガス(酸素や窒素)を吸収すると著しく硬度を増し,靱性が低下する(図1および表1参照)。

このためボックス中に不活性ガス(ArまたはHe)を封入し,その中で溶接を行うのが理想的であるが,実際には大気中でも適切な治具を用いて不活性ガスで溶接部を十分シールドすればよい。

大気中で溶接する場合は,単にトーチから流出するアルゴンガスでアークと溶融池とを大気から遮断するだけでは不十分であり,トーチ部分以外の溶接ビード表面および裏面のシールドをアルゴンガスで行わなければならない。

補助ガスシールド治具は被溶接物の溶接線の形状に合わせた形状のものを製作し,なおかつアルゴンガスがシールド面に均等にゆるやかに流出するように工夫しなければならない(図2,3,4参照)。

トーチノズルは通常ノズルよりもガスレンズ付きノズルの方が望ましい。トーチノズルのガス流量は,例えばセラミックカップNo.8(内径12.7mm)の場合には10~12/min程度である(一般的には7~10/cm2と思われる)。

表面補助ガスシールドはトーチノズルのガスシールドを妨害することなく,シールド面全体に均一に流れるもので,軽量,コンパクトであることが要求される。表面補助ガスシールドのガス流量は,トーチノズルのガス流量とのバランスを考えなければならないが,一般的には1.5~2.5/cm2と思われる。

裏面補助ガスシールドのガス流量は,治具の形状および適用箇所等によって異なるため示すことが困難である。

(2) 完全にシールドされたチタンおよびジルコニウムの溶接部は,金属光沢のある銀白色を呈する。シールドが不十分な場合には溶接部表面が酸化し,シールド状態に応じた酸化皮膜色(色調変化)を呈する。溶接部の変色の程度と溶接部の性質との一般的な関係およびJIS Z 3805(チタン溶接技術検定における試験方法および判定基準)における合否の判定基準を表2,3に示す。

なお,原子炉等規制法における合否の判定基準を表4に示す。ちなみにJIS Z 3805で合否の判定をするための変色判定色見本は日本溶接協会で制作され,各地区溶接技術検定委員会で使用されている。したがって各機器製造メーカーはこれに準じて色見本を作製しているのが現状である。

参考文献

1)鈴木ほか:工業用純チタン板の溶接雰囲気が溶接結果に及ぼす影響,溶接学会誌,Vol.31,No.4,p.316,(1962)

2)横山博臣:接合技術の最近の進歩,第128回西山記念技術講座テキスト,(社)日本鉄鋼協会,p.217,(1989)

3)日本溶接協会規格:WES 7102-1983,イナートガスアーク溶接作業標準

4)科学技術庁原子力安全局長通達:加工施設及び再処理施設の溶接の方法の認可について,(財)原子力安全技術センター,(平成9年12月)

〈廣瀬 博章 / 2012年改訂[図SI単位]〉

このQ&Aの分類

チタン・ジルコニウムとその合金の溶接

このQ&Aのキーワード

不活性ガスシールド材質:チタン・ジルコニウム

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