接合・溶接技術Q&A / Q02-04-03

Q耐食肉盛溶接は,一般的に肉盛溶接完了後母材の肉盛溶接による内部応力を除去するために熱処理(応力除去焼きなまし)を行う例が多いですが,肉盛金属はこの熱処理により劣化する材料もあります。このような場合の肉盛溶接の考え方,溶接の施工方法,熱処理上等の施工上の問題点および対策について教えて下さい。

耐食目的の肉盛溶接であれば,合せ材(肉盛溶接金属)はステンレス鋼,母材は炭素鋼または低合金鋼となり,ステンレス鋼にはオーステナイト系を用いることが多い。この組合せの場合,合せ材と母材の線膨張係数が大きく違っている。0~100℃での平均線膨張係数は,SUS304が17.3×10-6/℃,炭素鋼が11.4×10-6/℃であり,事実上応力除去は不可能である。すなわち,熱処理中高温時には応力は低下するが,常温まで冷却すると熱収縮の差により応力が発生するためである。しかし,規格・基準などには溶接後熱処理を規定していることが多く,通常は次のような方法がとられている。

合せ材がオーステナイト系の場合,炭素鋼または低合金鋼に規定されている温度の下限である600℃近辺で行っている。これは,境界部分での炭素移動,つまりステンレス鋼側で浸炭,炭素鋼側での脱炭を抑制するためである。

また,合せ材がマルテンサイト系またはフェライト系の場合,規定温度が低い側の炭素鋼または低合金鋼の上限である650℃近辺で行っている。これは,線膨張係数は母材とほとんど変わらないことから,合せ材と母材双方の変態点を越えないよう配慮したためである。

オーステナイト系の場合にはσ相ぜい化に,フェライト系の場合にはσ相ぜい化と475℃ぜい性に注意する必要がある。

〈河野 武亮〉

このQ&Aの分類

肉盛溶接

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熱処理製品名:ごみ処理発電ボイラー

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