接合・溶接技術Q&A / Q02-04-12

Q肉盛後,所定の硬さが得られないことがありますが,原因は何ですか。

硬化肉盛材料における硬さは,各溶接材料メーカーのカタログに記載されている。ところがメーカー側の硬さ表示は材料毎にある一定の条件での硬さ測定結果であり,この条件が実際の構造部品の溶接条件とは異なることが多く,所定の硬さが出ないことにつながる。一定の条件とは,例えばJIS Z 3114の溶着金属の硬さ試験方法では,

① 4層盛以上

② 硬さ試験層(試験層は最終2層)は,パス間温度150±20℃

③ メーカー推奨溶接条件

となっており,4層以上とは母材成分(特にC,Cr,Ni,Mo等)の影響を受けない全溶着金属という考え方であり,パス間温度の決定は肉盛部の予熱,層間,パス間温度によって冷却速度が異なる場合,硬さが低く,または高くなることもあり,ある程度冷却速度を一定とする条件が必要だからである。そのため当然の如くSM400などのC量の低い母材への2層盛では所定の硬さを確保することは難しく,逆に肉盛対象母材がC量の高いS45Cなどでは,図1に示すように1層目から高く得られることもある。また現場での硬さ測定は,ショアー硬さ計によることが多く,ショアー硬さは反撥硬さであるため,肉盛部の硬さ測定を行う場合には,測定部の面の仕上がり精度,測定部との鉛直度の確保などが必要であるが,これらが不十分な場合,低めの硬さしか検出されない。この例は肉盛部の本来の硬さというより測定方法に起因されるものである。

参考文献

1)(社)溶接学会編:溶接・接合便覧,丸善(株),p.697,(平成2年)

〈江本 幸生 / 2012年改訂[規格種類]〉

このQ&Aの分類

肉盛溶接

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硬さ測定

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