接合・溶接技術Q&A / Q02-04-14

Q鋼材表面にセラミックスを肉盛溶接することができるそうですが,どんな材質のセラミックスを,どのような方法で肉盛溶接するのですか。また,表面肉盛部の特性や施工上の注意事項なども教えて下さい。

鋼材表面へのセラミックスの肉盛溶接は,粉体プラズマアーク肉盛溶接法で施工される。粉体プラズマアーク肉盛溶接法は,従来より鉄鋼材料に対する肉盛溶接法として使用されており,実績のある方法である。溶接姿勢は,従来は自動溶接のため下向き姿勢のみとされていたが,最近半自動タイプの溶接装置が開発され,横向き姿勢,立向き姿勢の溶接肉盛が可能となり,特殊形状物への肉盛溶接ができるようになった。

肉盛溶接に利用できるセラミックスは,炭化クロム,炭化タングステン,炭化ニオブ,硼化クロム等であり,これ等を金属粉体に混合させたセラミックス複合粉体の状態で用いる。セラミックス複合粉体の肉盛溶接は,耐熱,耐食,耐摩耗性等が著しく改善されるので,あらゆる分野での利用が今後大きく期待される。

金属粉体には,耐熱,耐食,耐摩耗用の硬化肉盛材料として,ステライト,コルモノイ合金,耐熱・耐食材料として,ステンレス鋼,インコネル合金,ハステロイ合金等数多くの材料がある。

金属粉体と混合したセラミックス複合粉体は,60~325メッシュ範囲の粒度のものが送給性確保のため使用される。

セラミックス複合粉体プラズマ肉盛溶接の,標準的な溶接条件を表1に示す。溶接条件は,使用する金属粉体の種類およびセラミックスの粒形状,粒度等により溶接性が異なるので,その複合粉体に併せて設定する必要がある。また,熱管理が重要な条件であり,割れ防止の観点から予熱および溶接中温度は,400~450℃が最低必要であり,溶接後は徐冷をすることが望ましい。

セラミックス複合粉体は,目的に応じてマトリックス金属粉体とセラミックス粉体とを混合させたものであり,その混合比は自在に選定できるが,ビード形成,割れ,ブローホール等の溶接作業性の観点から,重量比で40~60%程度が適切である。

セラミックス複合粉体プラズマ肉盛溶接の1例として,炭化クロム,炭化タングステンおよび炭化ニオブを,軟鋼およびインコネル625に複合肉盛した,肉盛溶接金属の硬さと複合率の結果を図1に,また,肉盛溶接金属の硬さとASTMG65の砂摩耗試験の体積減少量の結果を図2に示す。

参考文献

1)三木良治,小島雄一:粉体プラズマ溶接への複合材料について,ジョイテック1990年4月号,pp.48-59

〈中島 宏幸〉

このQ&Aの分類

肉盛溶接

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セラミックスの肉盛溶接材質:セラミックス(Cr3C2,WC,NbC,CrB2施工法:粉体プラズマ肉盛溶接

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