接合・溶接技術Q&A / Q02-04-17

QSUS309系材料で下盛して,割れが発生する原因は何ですか。

もともとSUS309系材料は,25%Cr-12%Ni系のフェライトを約10~15%含有するオーステナイト系ステンレスであるので,耐割れ性に優れ,異材溶接材料としてよく用いられる材料である。したがって肉盛溶接の際にも下盛材料として一般的によく使用されるが,肉盛溶接を行うような対象部品の母材は,SS400である場合は少なく,むしろ炭素鋼(S35C,S45Cが一般的)やCr-Mo鋼系の低合金鋼(SCM440,SCM435),鋳鋼,鍛鋼(SF540,SF590)などが多い。炭素鋼,低合金鋼では化学成分,特にC量の範囲が決められているので判りやすいが,鋳鋼,鍛鋼では範囲規定がなく,例えばSC450ではCは0.35%以下,SF系では0.60%以下となっているだけである。SUS309系で下盛する場合,母材の成分,特にC量によっては溶接1層目に割れが発生することがある。溶接の際は,溶接方法,溶接条件によって希釈率の差異はあるが,図1に示すようにSCM440への下盛としたとき,30%の希釈をする場合を想定すると,本来の309系が持つフェライト―オーステナイト領域からオーステナイト―マルテンサイト領域となり,割れ発生の危険領域となる。下盛の際はこのように母材成分とともに希釈率がどの程度となるか予想し,希釈成分を想定して安全領域(オーステナイト―フェライト)になるように行うべきである。

参考文献

1)(社)溶接学会編:溶接・接合便覧,丸善(株),p.697,(平成2年)

〈江本 幸生〉

このQ&Aの分類

肉盛溶接

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SUS309系材料の割れ

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