接合・溶接技術Q&A / Q02-04-18

QCu系合金を肉盛した場合,肉盛近傍の母材に割れが発生するのはなぜですか。

銅合金を鋼に肉盛溶接した場合に,溶接金属である銅合金が母材の結晶粒界に浸透することがしばしあり,この現象を一般的には銅合金の浸透現象または浸透割れと呼んでいる。

質問の割れはまさにこの銅合金の浸透割れであり,特にオーステナイト系ステンレス鋼,マルテンサイト系13Cr鋼母材に対する浸透は著しい。アルミ青銅系が肉盛される母材は,SCM系が多いが,この場合でも浸透割れは発生する。浸透割れは図1のように溶接金属と母材との境界からの浸透(a)はもちろんのこと,それ以外にもアーク雰囲気にさらされた領域で直接溶接金属とは接触しない部分にも浸透割れ(b)は発生する。この浸透割れは,溶接時に銅合金の浸透した母材の結晶粒界は開口はしていなくても,結晶同士をちょうどろう付けした様な状態で強度は低くなっていることに原因し,この状態で何らかの応力(溶接ビードの応力,再加熱(SR)による膨張・収縮での応力)がかかった場合,粒界割れとなり,開口した割れとして検出される。

この浸透割れの防止策としては溶接条件的には入熱が低くなるように選定すること,下盛り材料としてフェライト組織を多く含む材料やニッケルベースの材料を選ぶことなどが挙げられるが,安全な防止策がないのが現状である。

〈江本 幸生〉

このQ&Aの分類

肉盛溶接

このQ&Aのキーワード

Cu系合金の割れ

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