接合・溶接技術Q&A / Q03-04-07

QJIS Z 3104:1995(鋼溶接継手の放射線透過試験方法)では,透過写真の必要条件として,試験体と同材質の透過度計を使用して,透過写真の像質区分と母材の厚さに応じて識別しなければならない最小線径を規定しています。なぜ透過度計を使用しなければならないのですか。

放射線透過試験を実施して,試験部の健全性を評価しようとする場合,検出すべききずを確実に透過写真に写し込むことが必要である。このような透過写真の像質の尺度として,透過度計が用いられる。

透過度計には,規格によって種々の形状のものが利用されているが,JIS Z 3104では試験部と同材質の針金形の透過度計を用いている。この透過度計による透過写真の像質は,次式に示す透過写真のコントラストΔDで定量的に示すことができる1)

 

ΔD

-0.434γσμ Pd

1+n

 

ここで,dは透過度計の線径,γは写真濃度に関係するフィルムコントラスト,σは撮影時の幾何学的条件に対する補正係数,μ Pは使用した放射線のエネルギーに関係する吸収係数,nは放射線のエネルギーと試験体の材質・形状に関係する散乱比である。式から明らかなように,透過写真の像質は,撮影条件によって大きく影響を受けることになる。

これらのことから,確保できる透過度計の識別最小線径を明らかにして透過写真の像質の区分を設け,試験体の形状に対応して像質を管理することとしている。表1に試験体の形状と撮影方法に対応して適用できる透過写真の像質区分を示す。表において,A級は平板の突合せ溶接継手において一般的に得られる像質区分である。B級は,きずの検出度を特に高くする方法を講じて得られる像質区分である。鋼管の円周溶接継手で適用されるP1級は,撮影時に放射線が管壁を2回透過するが,観察対象をフィルムに近い方の試験部とする場合の像質を対象にしている。したがって,A級より像質が低い区分である。次に,P2級では線源側に近い試験部とフィルム側に近い試験部を1枚の透過写真で観察する場合の適用を想定していることから,本質的に良好な像質が期待できない区分である。また,放射線を斜めから照射する形になるT形継手の場合に適用されるF級も,P2級と同程度の像質の要求となっている。

参考文献

1)仙田:X線透過写真のコントラストに関する研究,東京大学生産技術研究所報告,Vol.11,No.6,pp.297-333,(1962)

〈寺田 幸博 / 2012年改訂[字句修正]〉

このQ&Aの分類

放射線透過試験

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透過度計

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