接合・溶接技術Q&A / Q03-04-19

QJIS Z 3104-1995(鋼溶接継手の放射線透過試験方法)では,透過写真上にきず(欠陥)が検出された場合,きず(欠陥)の像を1類から4類まで分類する方法が規定されています。この分類を利用して合否基準を定める場合にはどのような考え方をすればよいですか。

きずの像の分類では,きずを4種類に区分し,きず(欠陥)点数(第1種および第4種)およびきず長さ(第2種)に基づいて,客観的に1類~4類に分類する。ただし,第3種のきず(割れおよび割れに類するきず)は長さのいかんに関わらず4類,長径が母材の厚さの1/2を超える第1種のきずは4類,また,第2種のきずのうち,溶込み不良および融合不良は,2類以下に分類する。

本規格の分類は,溶接施工の品質管理を目的として規定されており,必ずしも分類結果と溶接継手の信頼性は一致しないため,分類結果を合否基準に取り入れる場合は,構造物ごとに設計上どの程度のきず(欠陥)が許容されるか,あらかじめ破壊力学的および信頼性工学的に検討しておく必要がある。この際,安全性および経済性も十分考慮し,いたずらに小さい分類番号を決めることは避けるべきである。参考までに,品質要求の高い順に合否基準の一例を挙げると次のとおりである。

(1) 1類合格

繰返し荷重を受けて疲労強さを特に考慮しなければならない,または破壊によって重大な災害が起こるおそれのある原子力用の構造物などで余盛を削除する溶接継手

(2) 2類合格。ただし,溶込み不良および融合不良はあってはならない。また,混在するきず(欠陥)はあってはならない。

疲労破壊およびぜい性破壊を考慮する圧力容器などの余盛を削除する溶接継手

(3) 2類合格

疲労破壊は考慮しないが,ぜい性破壊防止の目的で鋼材の衝撃値を規定しているような構造物の溶接継手

(4) 3類合格

疲労破壊およびぜい性破壊を考慮しない一般の構造物の溶接継手

〈中村 和夫 / 2012年改訂[字句修正]〉

このQ&Aの分類

放射線透過試験

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