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The Japan Welding Engineering Society

  

   

▼No.

Q04-01-25

 

▼小分類

ラメラテア

 

▼キーワード

発生要因と防止法

 

 溶接技術教育シート
  (IIWシラバス)
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ラメラテアとはどのような割れですか。要因,防止方法も教えて下さい。

  

  

ラメラテアと呼ばれる板厚方向のはく離状き裂は,古くから船舶,建築などで問題になったことがあったが,とくに大型海洋構造物の建造が盛んになった頃から注目を集めるようになった。図1に代表的なラメラテアの形態(マクロ組織)を,図2にミクロ組織を示す。図1に示した例は溶接割れを起点としたラメラテアであり,板厚方向に生じた拘束応力によって鋼板表面に平行な方向に進展したはく離状の割れである。表面に平行なテラスは圧延によって長く伸ばされた非金属介在物が開口したものであり,テラスとテラスの間のウォールはせん断割れが斜めに伝播して階段状の割れが溶接熱影響部(HAZ)〜母材内を進展している。ウォールは拡散性水素の作用による低温割れとなることも多いとされている。必ずしも溶接割れを起点としなくても,HAZおよび母材内に同様の階段状の割れが発生することもある。

表1にラメラテアの要因と対策をまとめて示す1)。テラスとなる非金属介在物は主にMnS系であるがSiO2やAl2O3もあり,希土類元素などの添加によって層状非金属介在物を球状化する対策がとられた。母材のS量を低減することも有効であり,耐ラメラテア鋼も規定されている(日本溶接協会規格:WES 3008)。ラメラテアの多くが低温割れを起点として発生していることから,低炭素当量の鋼材を選定することも効果的である。

設計・施工面では,板厚方向に大きな拘束応力が生じないように留意する2)など。開先断面積を少なくして溶着量を低減することや低強度溶接棒を使用することもラメラテアの防止に有効である。また,バタリングは,鋼材表面に介在物のない層を形成する意味でも効果的である。施工面では,板厚方向に大きな拘束応力が生じないように溶接順序を考慮するほか,起点となる低温割れ防止のために低水素系溶接棒または拡散性水素量の少ない溶接法の採用や,予後熱の実施が望ましい。しかし,局部加熱によりかえって熱応力が生じることもあり,注意を要する。


参考文献

1)金沢:ラメラーティアの発生とその防止策,溶接技術,Vol.22,No.10,(1974)

2)永尾:多層すみ肉溶接部に発生する割れとその対策,溶接技術,Vol.22,No.10,(1974)

〈中西 保正〉