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The Japan Welding Engineering Society

  

   

▼No.

Q04-01-39

 

▼小分類

割れ以外のきずまたは不良

 

▼キーワード

溶落ち防止法

 

 溶接技術教育シート
  (IIWシラバス)
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薄板高速溶接における溶落ち防止方法について教えて下さい。

  

  

薄板の溶接施工では,ロボットや自動機を用いて比較的高速で溶接することが多く,一般にガスシールドアーク溶接材料(ソリッドワイヤ,フラックス入りワイヤ等)が用いられる。このガスシールドアーク溶接材料で薄板溶接を行った場合,よく問題になるのが溶落ちである(写真1)。溶落ちを防止するには,溶接部において溶込み不良を生じない範囲で,溶込み深さを浅く抑制しなければならない。具体的にはショートアーク領域で用いるワイヤを採用して低電流・低電圧で施工すること。薄板のギャップ管理や重ね合わせ管理を精度良く行うこと,裏当て金を用いること,等が有効な手段である。

溶接材料面からは,溶込みを浅く抑制し,かつ低電流域でのアーク安定性に優れたメタル系フラックス入りワイヤやパルスマグ溶接用の溶接材料を採用することが望ましい。また,トーチを進行方向と同じ向きに傾ける後退法では,溶融金属はアーク発生点より後方に押し上げられ,アーク力は母材に直接働き溶込み深さが増し溶落ちを生じやすくするため,トーチには後退角を付与しないほうが好ましい。

一方,マグ溶接やミグ溶接では,ワイヤマイナス(直流正極性)の方がワイヤプラス(直流逆極性)に比べて溶込みが浅くなるという特性(図1)があるため,極性比率を任意に変更して溶込み制御を可能にする特別な制御機能を具備した溶接電源の採用も溶落ち防止に有効である。

以上,述べてきた溶接材料,施工法,電源を適切に組み合わせることにより,相乗効果が働き個々で適用する場合よりも溶落ち防止効果は大きく改善されるものと考えられる。


〈細井 宏一〉