- 接合・溶接技術Q&A / Q04-02-16
-
Q溶接継手の応力集中係数はどの程度ですか。
溶接の形式や溶接ビードの局部の形状により,応力集中係数Ktは異なる。一般に溶接継手の弾性応力集中係数Ktは,溶接止端の形状による応力集中Kwと構造的な応力集中係数Ksの積として与えられる。
Kt=Kw×Ks
溶接止端形状による応力集中係数Kwは以下に示す傾向がある。
●溶接止端半径が小さいほどKwはい大きくなる。
●止端からの立ち上がり角(フランク角)が急になるとともにKwは大きくなる。
●溶接の脚長の増加に伴いKwは大きくなる。
構造的応力集中のない突合せ継手およびすみ肉十字継手については,後川1)や辻ら2)により以下に示す応力集中係数推定式が提案されている。この式を用いて十字継手の応力集中係数を求めると1.5~4.5程度となる。
引張および曲げ負荷を受ける突合せ継手の応力集中係数Kt
Kt=[l+fq{g(r)-l}]C(a/t)
g(r)=a t g t(r)+a b g b(r)
(a tおよびa bは引張負荷と曲げ負荷の比率)
(突合せ溶接の場合,βt=2.0,βb=1.5)
引張負荷を受けるすみ肉十字継手の応力集中係数Kt
W=t1+2h
S=t2+2hp
曲げ荷重を受けるすみ肉T継手の応力集中係数
また,構造的な応力集中係数Ksは,主板の板幅や付加板の板厚の組合せにより異なり,主板板幅に対して付加板の板厚が相対的に薄いほど構造的な応力集中係数は増加する傾向にある。構造的応力集中係数については有限要素法による解析や計測により求める必要がある。
参考文献
1)後川,中山ら:溶接継手の応力集中係数,IHI技報,(1983)2)辻勇:非荷重伝達型すみ肉溶接継手の応力集中係数の推定式,西部造船学会会報,(1990)
〈毛利 雅志〉