接合・溶接技術Q&A / Q05-02-15

Q建築構造用鋼材,SN材がJISに規格化されましたが,その背景と特徴について教えて下さい。

これまで,建築構造用には一般構造用圧延鋼材SS400(JIS G 3101)や溶接構造用圧延鋼材SM490A(JIS G 3106)が主に使用されてきた。ただし,これらは,建築以外の一般的な用途にも用いられるため,化学成分や機械的性質などの規定項目は比較的少ない鋼材であるといえる。

一方,昭和56年6月に新耐震設計法が施工され,鉄骨造建築物では鋼材の塑性変形能力を活用して地震入力エネルギーを吸収させ,建築物の耐震安全性を確保しようとするものになった。つまり,建築構造物の鋼材には,所定の応力で降伏し,しかも降伏後の変形性能が確保されることが求められることとなった。

このような状況では,JISの規格を満足しているSS400やSM490Aなどの鋼材を使用しても,新耐震設計法の思想や,建築固有の使用状況に対し,不都合が生じる可能性をはらんでいた。実際,平成元年頃に,溶接構造用圧延鋼材(SM材)としてJIS規格値をすべて満足しながら,建築鉄骨の通常の溶接施工で組み立てたとき,鋼板が開裂する事例が各地の鉄骨加工工場で発生し,社会問題化したことも,その一例である。この問題を重視した通商産業省では,工業技術院においてSM材の規格であるJIS G 3106の見直しを開始し,最終的に制定された規格が「建築構造用圧延鋼材(JIS G 3136)」,通称SN(SNのNはNew structureの頭文字)規格である1)

SN材の主な規定内容を以下に示す。

(1) 鋼材強度レベルは400N/mm2と490N/mm2の2種類。

(2) 強度レベル400N/mm2では,種類をA,B,Cに,また,強度レベル490N/mm2では,種類をB,Cの2種とし,合計5種類に区分。

A種は,二次部材やトラスのように弾性範囲内の応力レベル部材で,溶接を行わない箇所に使用する。

B種は,塑性変形性能と溶接性を確保し,耐震上主要な構造部材に適用する。

C種は,B種の性能に加えて,板厚方向の特性を絞り値で規定するとともに,超音波探傷試験(UT検査)が付加され,ボックス柱のスキンプレートなど,板厚方向の性能を重視するものを主用途とする。

(3) 機械的性質については,鋼種区分や厚さに応じて,それぞれ降伏点(YP)および引張強さ(TS)の上下限値,また,降伏比(YR)の上限,板厚方向絞り値の下限,シャルピー値の下限を設定。

(4) 化学成分については,特にB,C種の場合,溶接性や機械的性能などの観点から,不純物元素(P,S)の上限を低く抑えるとともに,炭素当量(Ceq),または溶接割れ感受性組成(Pcm)上限を設定するとともに,Ceqに計算される微量元素もミルシートに表示する。

(5) 厚さについては,板厚断面不足とならないよう呼称寸法からのマイナス側の許容差を0.3mmに統一した。

参考までに表1にSN材の化学成分を,表2に機械的性質を,SS,SM材のものと比較して示す。

参考文献

1)(社)鋼材倶楽部編:新しい建築構造用鋼材,鋼構造出版,p.13~,(1998)

〈小嶋 敏文〉

このQ&Aの分類

普通鋼・低合金鋼

このQ&Aのキーワード

建築構造用鋼材

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