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The Japan Welding Engineering Society

  

   

▼No.

Q05-02-16

 

▼小分類

普通鋼・低合金鋼

 

▼キーワード

炭素鋼と合金鋼鋼管の溶接

材質:低合金鋼

施工法:一般

 

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炭素鋼(例えばSB410)と合金鋼鋼管(例えばSTPA23)の異材溶接における留意点を教えて下さい。また,こうした溶接部の溶接後熱処理(PWHT)はどちらの鋼材に合わせるべきでしょうか。

  

  

異材溶接を行う場合,いくつかの留意点がある。

(1) 溶接材料の選び方

炭素鋼同士で強度の異なる異材溶接の場合,一般的には低強度側の溶接材料を選べばよい。例えば,軟鋼と780MPa級高張力鋼の溶接では,軟鋼用の溶接材料が使用できる。例え780MPa級高張力鋼用の溶接材料を使用しても,軟鋼が接しているわけで,高強度溶接金属の特性が生かせない。溶接性やコストの面で有利な軟鋼用の溶接材料で十分である。

PWHTが必要な低合金耐熱鋼の異材溶接の場合も基本的には同様である。つまり炭素鋼のSB410と,低合金鋼鋼管のSTPA23(1.25%Cr-0.5%Mo)の場合にも,基本的には低グレード側の溶接材料,すなわちSB410用の溶接材料を使用すればよい。

ところがPWHTを行う異材溶接部でCrの含有量が大きく異なる場合には,別の注意が必要である。例えば軟鋼と9%Cr鋼の場合には,溶接後熱処理中に,ボンド部において炭素の移動,すなわち,軟鋼側から高Cr鋼側に炭素が移動し,軟鋼の溶接金属には脱炭層,高Cr側の母材には浸炭層が生じることになる。この脱炭層や浸炭層の発生を抑制するためには,中間的な成分の溶接材料(例えば上記の場合は,2.25%Cr-1%Mo系等)の使用が有効である。

(2) 予熱温度・PWHTの考え方

予熱温度やPWHTのいわゆる熱管理については,溶接材料の選定とは逆に,高グレード側の要求に合わせる必要がある。予熱の目的は主に低温割れの防止であるから,割れ感受性の高い高グレード側の材料に合わせた予熱条件を採用しなければならない。

また,残留応力の低減や組織の改善を目的としたPWHTに関しても同様で,一般に高グレード材料ほど高温のPWHTが必要となるため,高グレード側の要求に合わせた条件で実施することが好ましい。表1は各種異材溶接部のPWHT条件を示している。これによれば先に述べたように,高グレード側のPWHT条件が推奨されていることが分かる。

原則は以上の通りであるが,実際には更に注意すべき点がある。例えば,軟鋼と1.25%Cr-0.5%Mo鋼の異材溶接の場合は,1.25%Cr-0.5%Mo鋼に合わせたPWHTを行うわけであるが,要求性能によっては,軟鋼母材や溶接金属が高温のPWHTに耐えられない場合,例えば強度不足等の問題が生じることがある。このような場合は,実際に使用する両鋼種や溶接材料の特性に応じて,可能な範囲で低温側の適切なPWHT条件を選ぶ必要がある。


参考文献

1)AWS D10.8-78:Recommended Practice for Welding of Chromium-Molybdenum Steel Piping and Tubing

〈後藤 明信〉