- 接合・溶接技術Q&A / Q06-03-05
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Qクラックフリー鋼について溶接材料選定基準および溶接時の留意点について教えて下さい。
高張力は,一般に溶接施工時に,低温割れ防止のための予熱を必要とする。クラックフリー鋼は,従来鋼より予熱温度を大幅に低減することを目的に開発された。規格としては,WES 3009に規定され,WES 3001のHW46,HW50の2種類にCFの記号を付してHW46CF,HW50CFと表記される。化学成分規定として,C≦0.09%,PCM≦0.20%,HAZの最高硬さはそれぞれHv≦380,≦390と決められている。図1は被覆アーク溶接棒による斜めY形割れ試験結果を従来鋼との比較で示したもので,CF鋼は溶材を選択すれば予熱なしで室温で溶接しても割れが発生していない。従来鋼が予熱温度が75℃以上(板厚38mm),100℃以上(板厚50mm)に比べ大幅に改善されている。図2に被覆アーク溶接棒によるHAZの硬さ分布を従来鋼との比較で示すが,最高硬さが従来鋼が350程度であるのに対し,CF鋼は270程度以下と非常に低い。
CF鋼用に溶接材料は,拡散性水素量が低いが吸湿し難い材料を使用する。被覆アーク溶接棒は拡散性水素量が3ml(ガスクロ法)以下で,難吸湿タイプを適用する。図3に低水素で難吸湿タイプの被覆アーク溶接棒の吸湿時間と拡散性水素量の関係の一例を示す。
サブマージアーク溶接材料においても,被覆アーク溶接棒同様に拡散性水素量が低いフラックスを用い,吸湿管理を十分に行う。使用前にはメーカの推奨する条件で再乾燥を行い,使用後は吸湿しないように保管する。ガスシールドソリッドワイヤおよびガスシールドフラックス入りワイヤは通常のHT590鋼と同様に管理する。
CF鋼の予熱温度は室温であるが,実施工に当たっては,低温割れ防止のための管理は従来鋼と同様に,予熱温度以上のパス間温度の確保,開先の水分等を予め十分に除去することが必要である。予熱温度は構造物の形状,拘束の強弱,溶接中の水蒸気分圧などによって変わるので,条件設定に当たっては,実際に使用する鋼板と溶接材料,施工条件の組合せで確認しながら決めることが望ましい。また,多層溶接において中途で溶接を中断し,試験体温度がパス間以下になる場合は,溶接を再開する時にパス間温度まで予熱することが必要である。



参考文献
1)新日本製鐵(株):カWELTEN60CF,62CF,Cat.No.EXE 352,(1987.1)〈元松 隆一〉