接合・溶接技術Q&A / Q06-07-13

Qマグネシウムの溶接で,最も利用しやすい方法はTIG溶接かMIG溶接でしょうが,これらの溶接で目安になる溶接条件を教えて下さい。

ティグ溶接では,高周波付き交流(AC)がアーク安定性から好ましいが,直流(DC)でも良好な溶接が可能である。薄板に対しては,交流および直流棒プラス(DCEP)が好ましいが,5mm以上の厚さになると直流棒マイナス(DCEN)の方が溶込みが深くなり好ましい。しかし,直流棒マイナスは溶接操作が難しいことと,表面の清浄作用がないのであまり使われていない。自動による交流溶接でも良好にできる。

電極としては,純タングステン,トリュウム入りタングステン,ジルコニウム入りタングステンのいずれを使用してもよい。電極の太さは溶接する板厚にもよるが,0.25mmから6.5mmまで使用される。表1に代表的な突合せ溶接条件の例を示す。

この条件で溶接する場合で良好な溶接部を得るには,次のようなことを守ることが大切である。

① アーク長は1mm程度がよい。

② 直流の場合は母材表面よりわずかに下げた埋もれアークがよい。

③ トーチと溶接棒の関係は図1に示すように直角が望ましい。

④ アークの移動としては前後の移動あるいは回転でよい。

⑤ アークはできるだけ途中で止めない方がよい。

⑥ 予熱温度は95℃から150℃程が望ましい。

ミグ溶接は,直流棒プラス(DCEP)の極性で不活性ガスとしてはArあるいは25%He入りのArが使用される。金属のアーク移行としては,ショートアーク,スプレイアーク,パスルアークが利用される。この溶接法はティグ溶接に比べて溶接速度が早く,600mm/min.~1500mm/min.で3倍以上の早さである。厚板の溶接に適している事とティグ溶接に比べて技術的にやさしい。得られる溶接部の品質は,ティグ溶接とほぼ同じであると考えてよい。代表的な溶接条件を表2に示す。

なお,ティグ溶接・ミグ溶接いずれの場合も溶加材としては共金系でよいが,ミグ溶接の場合はS2(AZ61A),MC3(AZ92A)が利用される。

ミグ溶接の場合注意することは次の通りである。

① 一般に予熱は不要である。

② アーク長は標準(約3mm),アークの移動は直進でよい。ティグ溶接のように前後,回転を用いてもよい。

③ 溶接アークが強いのでティグ溶接のようにゆっくりアーク移動を行うと(バーンスルー)溶落ちを起こすので注意する。

④ 適正な溶接条件を採用するならば全姿勢で溶接は可能であり,ティグ溶接よりは簡単である。

⑤ 得られる溶接部の品質は,ほぼティグ溶接と同等である。

参考文献

1)(社)軽金属溶接構造協会:アルミニウム及びマグネシウム合金鋳物の溶接,(昭和61年5月15日)

2)サイエンスフォーラム:材料別接合技術データブック,金属系接合第3分冊,(1992.11.3)

3)日本マグネシウム協会:用途開発委員会資料,JOINING MAGNESIUM,No.9703

〈松本 二郎 / 2012年改訂[字句修正]〉

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マグネシウム

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溶接条件

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