接合・溶接技術Q&A / Q07-01-05

Qエレクトロンビーム溶接法,レーザビーム溶接法の使い分けを教えて下さい。また,それらを適用する上での留意点にはどのようなことがありますか。

電子ビーム溶接法とレーザビーム溶接法を比較する上で,前者はすでに実用化研究の時期を経て完成された溶接法として産業界に認知され定着しているのに対し,後者は自動車や家電など一部の業界を除いて現在実用化を目指した研究段階にある発展途上の溶接法であるということを銘記しておく必要がある。

その上に立って,現時点での両溶接法の得失を種々の点から比較したものが表1である。同表をもとに両溶接法の適用対象について概略的にまとめる。

まず,電子ビーム溶接法は,

① 数ミリ以上の比較的厚板継手

② 溶接部に極めて高い品質と信頼性が要求される高付加価値製品,あるいは繰返し溶接における高い品質再現性が要求される量産品

③ ニッケル,アルミ,チタン合金などの難溶接材料の高品位溶接

が主対象となり,具体例としては,各種エンジンやタービンの駆動系部品,航空機やロケットの機体部品,あるいはタービンケーシングや各種圧力容器などの厚板部材などが挙げられる。

一方,レーザビーム溶接法は,

① 精密部品や数ミリ以下の比較的薄板継手

② 高速溶接による能率面でのメリットが生かせる量産品

③ パルス溶接機能を生かした小型精密部品の多点スポット溶接

などが主対象となり,具体例としては小型家電部品の微細溶接や自動車ボディのプレス前の板継ぎ溶接(テイラードブランク)などが挙げられる。レーザ溶接は,その出力の制約からこれまで適用対象が薄板に限定されていたが,近年数十キロワット級の炭酸ガスレーザ発振器やキロワット超級YAGレーザ発振器が相次いで登場し,厚板領域への進出に関して今後の展開が期待されている。

2つの溶接法とも,溶接姿勢としてはキーホールと溶融金属が安定する下向あるいは水平横向が主体であるが,ワークの形状によっては希に立向(下進)姿勢などがとられることもある。

材質的な注意点としては,亜鉛やマグネシウム等の蒸気圧の高い元素を多く含む材料,また酸素や窒素等のガス成分を多く含む材料は溶接が不安定となり溶接欠陥も発生しやすいので注意が必要であるほか,レーザビーム溶接ではワーク表面状態の影響を受けやすく,研磨処理された表面では反射率が高くなり所定の溶込みが得られないといった問題も発生する。

〈古賀 信次〉

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エレクトロンビーム溶接,レーザビーム溶液

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