接合・溶接技術Q&A / Q07-01-09

Q溶接の自動化を図りたいのですが,どのような考え方で溶接法を選定すべきでしょうか。

溶接の自動化を行う場合には,その目的に適した溶接法を選定する必要がある。自動化の目的としては,一般に以下に集約される。

① 能率向上,生産性向上

② 省力,省人化

③ 熟練溶接士不足対策,脱技能化

④ 品質安定化

⑤ 作業環境の改善

能率向上,生産性向上を目的として自動化を行う場合には,溶着速度が大きく,溶接速度の向上が図れる高能率な溶接法を選定すべきであることはいうまでもないが,自動化の対象が単一のプロセス(工程)であるか,特定のラインを対象とするのか,また,工場全体にわたるネットワーク化・システム化までの展開を対象するかで溶接法選定の考え方は異なる。ライン化からネットワーク化・システム化と拡張するに従い,溶接の前後工程並びに周辺治工具まで考慮にいれた全体自動化システムの構築が必要であり,ロボット化やCAD/CAM/CIM化が可能となる溶接法を選定すべきである1)。現状,このような考えで広く適用されている溶接法としては,マグ溶接とミグ溶接が挙げられるが,高速化並びにシステム化が望めるレーザ溶接も活用が期待される。

一方,品質安定化や脱技能化を目的とする場合は,溶接現象の安定性や適応制御などの制御性に優れた溶接法の適用が望まれる。例えば,アーク溶接ではスパッタやスラグの発生がなく,溶接姿勢に対しても安定して溶接が行えること,さらに精密に溶接条件を調整することでアークの状況や溶込みが確実に制御されることが必要である。このような観点からは,能率は劣るもののアークの状況とワイヤ送給を個別に制御できる点ではティグ溶接が適した溶接法といえる。

また,自動化のレベルをどこまで狙うかによっても溶接法選定の考え方が変わる。例えば,ワイヤ送給やトーチ移動の機械化で溶接士の常時監視が必要である機械化溶接レベルでは,対象製品形状に応じ比較的能率が優れ,かつ設備コストが安価な溶接法を選定することになるのに対し,溶接条件等があらかじめプログラム設定され,オペレータが必要に応じ監視し微調整を行うレベルや,さらにセンサなどを付加し適応制御機能を有しオペレータの監視なしで無人で行うレベルの場合では,設備投資コストも高価となり知能化システムの構築を考えて溶接法を選定することになる2)

図1は,以上の自動化の目的に応じた溶接法選定の考え方を要素技術をキーワードとして要因特性図的にまとめたものである。

参考文献

1)杉谷祐司:溶接法ガイドブック3「アーク溶接の自動化技術」,(社)溶接学会,pp.Ⅰ-1~2,(1995)

2)(社)溶接学会平成10年度秋季全国大会技術セッション「溶接の自動化における最新技術」,(社)溶接学会,(平成10年10月8日)

〈浅井  知 / 2012年改[字句修正]〉

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溶接の自動化

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