接合・溶接技術Q&A / Q07-01-14

Q酸化やスパッタが付着しない清浄な溶接法にはどのような溶接法がありますか。また,溶接による作業環境の劣化を極力防止したいのですが,どのようにすればよろしいでしょうか。

マグ・ミグ溶接では,陰極点の安定化を図るために,Arに少量のCO2あるいはO2を添加したガスをシールドガスとして用いる。CO2やO2は高温のアークによって解離し,Oとなって溶接金属中に侵入するとともに,ビード表面も酸化する。また,マグ・ミグ溶接では溶接ワイヤと母材・溶融池の短絡に起因したスパッタの発生もある。

一方,ティグ・プラズマ溶接では,表1に示すように,シールドガスには酸素を用いないため1),酸化の恐れはなく,清浄な溶接金属が得られる。また,ティグ・プラズマ溶接では短絡が生じないため,通常はスパッタの発生も全くない。

より一層の清浄度が要求される場合には,Arガスを注入したチャンバー内でティグ溶接を実施するといったことも行われている。また,酸化が溶接品質に著しく影響するチタン(Ti)などの溶接では,図1に示すような補助ガスシールド用治具が用いられる2)

マグ・ミグ溶接のスパッタ低減策として最も一般的な手法は,パルスアーク溶接法である。最近のパルスマグ・ミグ溶接では,図2(a)に示すように,パルス電流に同期して1個の溶滴をワイヤ端から溶融池(母材)へ移行させる,1パルス1溶滴移行(シナージック)パルス溶接が多く採用されている。またCO2溶接では,図2(b)に示すように,アーク現象に応じて電流波形をきめ細かく制御することによってスパッタを低減させる手法もいくつか開発されている3)

溶接作業環境を著しく劣化させるものとしては,スパッタの他に,溶接ヒュームが挙げられるが,パルスマグ・ミグ溶接は溶接ヒュームの低減にも有効である。図3はその一例を示したものであり,ヒューム発生量はパルス制御によって,パルスなしの場合の1/3~2/3程度まで減少し,その効果は電流値が大きくなるほど顕著である。また図2(c)に示したような交流パルス溶接でのヒューム低減効果はさらに著しく,その発生量は直流パルス溶接の場合の1/5程度に減少する4)

参考文献

1)日溶協・電溶機部会編:アーク溶接の世界 パートⅠ,産報出版(株)

2)横尾ほか:ティグ溶接入門,産報出版(株),p.156

3)日溶協・電溶機部会編:アーク溶接の世界 パートⅡ,産報出版(株)

4)Ushioほか:Fume Generation in Al-Mg Alloy Welding with AC-pulsed GMA Welding Method,TRS.of JWRI,Vol.23,No.1,p.21,(1994)

〈三田 常夫〉

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マグ・ミグ溶接施工法:ティグ溶接,パルスマグ・ミグ溶接

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