接合・溶接技術Q&A / Q07-04-05

Qシールドガスの種類と役割について教えて下さい。

ガスシールドアーク溶接では,大気中の窒素や酸素の悪影響から溶接金属を保護するためにシールドガスを用いるが,シールドガスの種類によっては溶接金属の性能や溶接ビードの外観・形状が影響を受ける。したがって,シールドガスを選択する際には,溶接しようとする母材,溶接材料,溶接部の要求性能等に注意しなければならない。

表1は消耗電極式ガスシールドアーク溶接法(マグ・ミグ溶接)を適用できる各種の金属と,そのシールドガス組成の例を示している。母材が炭素鋼では炭酸ガスを用いることが多いが(炭酸ガスアーク溶接),スパッタの低減やビード外観を良好にすることを目的としてアルゴンガスも使用されている。ただし,不活性ガスであるアルゴンガスを単独で使用すると溶接アークが不安定になるので,少量の炭酸ガスや,酸素ガスを混合させている(マグ溶接)。

マグ溶接でのアルゴンと炭酸ガス,あるいは酸素との混合比率は溶接する鋼種によって異なり,軟鋼から低合金鋼までの溶接には,アルゴンガスに10~25体積%程度の炭酸ガスを混合させたガスを用いることが多い。ステンレス鋼や高合金鋼(例えば9%Ni鋼等)では炭酸ガス,酸素ガスの混合比率が少なく,0.5~10体積%程度となっている。また,微量の炭素が溶接金属の特性(耐食性)に影響を及ぼすようなステンレス鋼の溶接では炭酸ガスを避け,酸素とアルゴンの混合ガスを使用することもある。

ただし,ステンレス鋼の溶接において,アルゴンと酸素の混合ガスを用いるのはソリッドワイヤを用いる場合であり,現在では炭酸ガスのみで溶接ができるステンレス鋼用フラックス入りワイヤを用いる溶接が主流になっている。これは,炭酸ガスから解離して溶融金属中に入った炭素を除去する作用(脱炭作用)のある元素が,フラックス中に含まれているからである。

アルミニウム,マグネシウム,チタンやそれらの合金のように,高温で酸素と反応しやすい金属の溶接では,アルゴンやヘリウム等の不活性ガスを単体,あるいは混合したガスが用いられる(ミグ溶接 )。

〈佐藤 正晴 / 2012年改訂[字句修正]〉

このQ&Aの分類

ガスシールド溶接

このQ&Aのキーワード

シールドガスの種類製品名:シールドガス材質:一般施工法:マグ・ミグ溶接

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