接合・溶接技術Q&A / Q07-04-06

Qなぜオーバラップ,アンダカット,ハンピングができるのですか。また,その防止方法についても教えて下さい。

溶接ビードの代表的な形状欠陥として,図1に示すようなオーバラップ,アンダカツト,およびハンピングビードがあり,溶接電流と溶接速度の関係が不適切な場合に生じる。一般的に,溶接速度が遅い時にオーバラップが発生しやすく,反対に溶接速度が早い時にアンダカット,ハンピングビードとなる。図2にその関係を表す概念図を示す。

オーバラップはビード止端部と母材とのなじみが悪い状態の部分を言い,JIS Z 3001-4では「溶接金属が止端で母材に融合しないで重なった部分」と定義されている。すみ肉溶接で発生するオーバラップは,過剰な溶融金属が重力のために垂れ下がることが原因なので,溶接条件の変更(電流の低減,または速度の増加)が必要となる。また,アークの狙い位置を下板側にずらすこと,トーチ(溶接棒)角度を立板から35°~55°の範囲にすることなどで改善できる。

片面溶接での裏ビードにもオーバラップが発生することがある。この場合,裏当て材と母材との密着不良,裏当て材の溝と開先線の不一致が原因であることが多いので,裏当て材の取付け位置を適正にすることが重要である。

一方,アンダカットは「母材または既溶接の上に溶接して生じた止端の溝」と定義されている。そしてさらに溶接速度が速くなると,図のように溶接ビードが不連続なものになる(ハンピングビード)。このような欠陥を防止するポイントは,溶接電流と溶接速度の調整により,適正な溶着金属量が得られるようにすることが基本である。一般的には溶接電流を低くし,溶接速度も低下させる。また,アーク電圧は若干低めの設定とする。

さらにウィービングを行うことも防止方法の一つであるが,その幅が大きすぎてもアンダカットを生じさせる場合があるので注意を要する。

このように,溶接能率を上げるために溶接電流や溶接速度を過度に増加させると,形状的な欠陥が発生しやすくなるので,溶接姿勢や継手の形状,溶接材料に応じた適正な施工条件を選択しなければならない。

〈佐藤 正晴 / 2012年改訂[字句修正]〉

このQ&Aの分類

ガスシールド溶接

このQ&Aのキーワード

欠陥の発生材質:一般施工法:マグ・ミグ溶接

Q&Aカテゴリ一一覧