接合・溶接技術Q&A / Q07-04-09

Qティグ溶接法の能率を高めるにはどのような方法があるのでしょうか。

ティグ溶接法は,アークによる母材の溶融と溶融池へのフィラーワイヤの送給とを切り離して別個に制御することができる。このため,タングステン電極からの安定したアークでじっくりと確実に母材を溶かし込むことができるので,極めて高い溶接品質を得ることができる。しかし,反面でサブマージアーク溶接やマグ・ミグ溶接に比べ,フィラーワイヤ送給速度,すなわち溶着速度が低いことに加え,溶接速度も低いため,溶接能率が著しく低いという難点がある。

ティグ溶接の能率を高めるには,上述のフィラーワイヤ送給速度あるいは溶接速度を増大させる方法および開先を狭めて溶着すべき量そのものを減らしてしまう方法等がある。

一般的には,フィラーワイヤに電流を流し,フィラーワイヤの持つ電気抵抗によりジュール加熱してフィラーワイヤ送給速度を増大させる方法が用いられる。この方法はホットワイヤ法と呼ばれ,通常の数倍以上に能率を高めることが可能である。加熱電源には,交流あるいは直流のどちらも用いることができるが,アークを発生しない程度の低電圧に抑えることが必要である。図1にホットワイヤティグ溶接法の概要を示す。また,アーク電流をパルス化したり,シールドガスとして通常用いられるアルゴンガスに水素やヘリウムを加えて溶込みを増大させることにより,フィラーワイヤ送給速度を高める方法もある。

一方,溶接速度を増大させるには,溶接電流を増加すればよいが,電流の増加はアーク力を増すため,ハンピング現象やガウジング現象が発生し,溶接不良を招きやすい。このため,薄板溶接の場合を除き,電流増加による速度の増大に多くを望むことはできない。

開先を狭め狭開先とする方法は,厚板の突合せ溶接で多く用いられている。しかし,開先を狭くするほど開先底部の溶込みが減少するので注意を要する。すなわち,溶融池の厚みが増すため,アーク熱が底部に届きにくくなってしまうのである。したがって,開先が狭くなるにつれてフィラーワイヤ送給速度を低くする等の必要がある。図2に開先を極端に狭めると同時に,フィラーワイヤ送給速度も大きく低下させてパス数を増やしバランスをとった狭開先ティグ溶接の例を示す。

〈手島 秋雄〉

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ティグ溶接

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能率

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