接合・溶接技術Q&A / Q07-08-04

Qアーク溶接中の施工パラメータの監視や異常検知を行う場合にはどのような方法があるのでしょうか。

アーク溶接における溶接施工パラメータには,溶接電流,溶接電圧,溶接速度,フィラーワイヤの速度や位置,トーチの位置や高さ等がある。

一般に,自動溶接において溶接品質を良好に保つには,開先の精度を確保し,水や汚れの除去を十分に行うとともに,これらの溶接施工パラメータを,安定施工範囲(いわゆる標準溶接条件)内に保つことが重要である。また,ガスシールド溶接を用いる場合では,シールドガスの流量を一定に保った上で,ノズルへのスパッタ付着や風によるシールドの乱れが起きぬようにすることも肝要である。

上記のように,溶接部の品質は溶接施工パラメータにより大きく影響されるため,溶接中にこれらの溶接施工パラメータを常時監視し,標準溶接条件範囲内にあることを確認することは,溶接部の品質健全性を保ち,良好な溶接継手を得る上で極めて有効な手段となる。

溶接施工パラメータを監視するには,電流計や電圧計,速度計,回転計,ポテンショメータ,流量計等を用い,得られた信号を適当な直流電圧に変換した後記録計に表示・記録させる方法がある。しかしながら,この方法では,作業者が常に記録計をにらみながら瞬間的に値を読みとって異常の有無を判定しなければならず,作業者に経験と能力を要求する一方で,監視精度が悪く,見落としが生じる懸念もある。

このような観点から,最近では記録計に代えてコンピュータを用いて監視する例が多くなってきており,溶接施工パラメータそのものの精密な制御とあいまって,自動溶接の品質向上と安定化に著しい進歩が見られている。

コンピュータで溶接施工パラメータを監視するためには,ノイズ等の外乱の混入を防ぎ,精度のよい信号を入力させること,および入力した信号をいかに処理して良否を判定するかがポイントとなる。

ノイズの少ない良質の信号を得るには,電流計や電圧計,速度計等の計測器の負荷インピーダンスを下げること,およびコンピュータへの入力部にノイズフィルタやアイソレーションアンプを挿入することが効果がある。

コンピュータによる計測信号の良否判定には,しきい値を用いる方法が一般的である。すなわち,あらかじめ実験等で各溶接信号パラメータ変動の許容範囲を求めておき,これらの上下限の値をしきい値としてコンピュータのメモリに記憶させておき,逐次入力信号と比較して大小判定を行い,良否を判定する。

大小判定には,入力された計測信号の絶対値と上下限のしきい値とを比較する方法(図1参照)や,入力された計測信号の変化幅に着目して,これが通常のばらつきの範囲を超えるかどうかを,変化幅のしきい値と比較する方法(図2参照)等がある。

これらの処理により,信号がしきい位置を越えてなんらかの異常が発生したと判定された場合には,ただちにコンピュータから溶接機に対し溶接停止命令を出し,溶接を停止させねばならない。

〈手島 秋雄〉

このQ&Aの分類

センサ

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施工パラメータの監視

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