接合・溶接技術Q&A / Q07-08-07

QCCDカメラなどの視覚センサを使って溶融池やアークの状況を監視する場合,鮮明な映像を得るにはどうすればよいですか。

鮮明な画像を得るためには,一般的には,下記を考慮する。

(1) 絞りの適正化

(2) シャッタ速度の適正化

(3) 使用レンズの適正化

(4) センシング角度,距離の設定

(5) フィルタの適正化

(6) シャッタタイミング

(7) 画像処理による鮮明化

溶接対象により,開先形状や電流などの溶接条件が異なり,撮像条件の一般解はないので,実験しながら最適な値を設定していく。

(1) 絞りの適正化

鮮明な画像を得ようとした場合,焦点深度を深くするため,レンズの絞りを絞る。焦点深度が深くなれば,ピントも合いやすくなる。

(2) シャッタ速度の適正化

シャッタ速度は,対象画像から何を得ようとするかによって異なってくる。高速なものを捕らえようとしない限り,通常の1/60(s)で良い。溶融池やワイヤの瞬時の挙動を捕らえるためには,シャッタ速度を速めて撮像することになる。

また,シャッタ速度は,絞りの代わりにもなり,絞り切れない場合は,シャッタ速度を速めに設定することで絞りと同じ効果が得られる。

(3) 使用レンズの適正化

レンズは,大きいほど良い。しかし,一般には,溶接部周辺は,狭隘のケースが多く,あまり大きなレンズやカメラを使用できない状況にある。また,スパッタやヒュームの影響を考慮すると小さい方がレンズの表面を痛める可能性が低くなるとも言える。

(4) センシング角度,距離の設定

溶接対象の見えやすい位置にカメラ位置を設定する。カメラは,被写体から離れるほど焦点深度は深くなる。しかしその反面,視野が広くなり被写体は小さくなるため,この兼ね合いを考慮しながら調整する。

(5) フィルタの適正化

ティグ,マグ溶接ともにアーク光は,強烈で,高輝度のアーク光を市販のCCDカメラで撮像する場合,通常はカメラがスミア現象やブルーミングを起こして,見えなくなる。

アーク光は,全波長で高強度に光を発生しているため,1つは,減光のNDフィルタを使う手がある。また,アーク光は,赤外域で減少し,逆に溶融池光は,近赤外域から強度が強くなる1)。この特性を利用し,近赤外に近い干渉フィルタをカメラ前方に配置し撮像する方式が取られる。干渉フィルタを配置すると画像は格段に良くなる。さらに,赤外線(IR)カットフィルタを配置するとより鮮明に撮像できることがある2,3)

また,溶融池を撮像する場合は,逆に可視光をカットするフィルタをセットし,赤外域を透過することによって溶融池を鮮明化できる。ただし,カメラには標準で赤外カットフィルタが内蔵されているケースがあるので注意を要す。この場合,取り除ければよいが,できない場合は,メーカに特注する必要がある。

(6) シャッタタイミング

ウィービングを伴う溶接の場合は,溶接トーチ位置をフィードバックして,開先端や中央位置を確認して,そこでカメラにトリガをかけて撮像する。通常は,トリガをかけてもカメラは,1/60か1/30サイクルでしか撮像できないため,タイミングが微妙にずれることになる。

これを解消するためには,ランダムシャッタトリガ付きのカメラを用いることになる。

また,電流や電圧にも同期して撮像しなければならないケースがある。パルスを用いた溶接では高電流域か低電流域で撮像するタイミングを決め,かつ溶融池が時間的に変化するので,常に同じタイミングで撮像できるようにトリガをかけて撮像する。

また,アーク光を減光するため,溶接に支障のない範囲で溶接電流を数msの間,数Aに下げて撮像する。そうするとアークが消え溶融池のみが鮮明に撮像できる4)

(7) 画像処理による鮮明化

画像処理で鮮明化するには,各種の方法があるが,ここでは,説明を割愛する。

参考文献

1)井上:溶接学会誌,溶接プロセスのオンライン検出のため画像処理(第二法),pp.94-100,(昭和56年4月)

2)松本ほか:三菱重工技報,Vol.31,No.3,TIG溶接における無監視技術の開発,(平成5年5月)

3)藤田ほか:三菱重工技報,Vol.34,No.6,狭開先自動MAG溶接の無監視技術と実用化,pp.430-433

4)大嶋:CCDカメラによる溶融池観察技術,ロボット溶接研究委員会機器利用技術検討プロジェクト資料,p.1~,(平成6年9月)

〈藤田  憲 / 2012年改訂[字句修正]〉

このQ&Aの分類

センサ

このQ&Aのキーワード

画像での監視

Q&Aカテゴリ一一覧