接合・溶接技術Q&A / Q07-08-08

Q自動溶接システムのノイズ対策は,どのように行えばよいのですか。留意事項についても教えて下さい。

産業用ロボットをはじめとする自動溶接システムは,高度な制御を行うコンピュータを内蔵しておりノイズに対して極めてデリケートである。しかも最近では高機能化を実現するため処理の高度化,高速化が進み,ますますノイズに対する影響を受けやすくなっていると言える。

かたや,溶接機はその原理上,大電流を使うため非常に大きなノイズの発生源であると言うことができる。

ロボットなどの自動溶接システムでは,この相反する要求に対しても高い信頼性を要求されるが,自動溶接システムを構成する場合の留意点を以下に述べる。

(1) ノイズの逃げ道を確保する。

システムを構成する各機器の接地を確実に行うことが重要である。電気機器はその安全性を確保するために接地をすることが定められているが,ノイズ対策のうえでは,その基準を上回る確実な接地をすることが効果的である。機器に接続する接地線を定められた接地抵抗以下にすることは勿論であるが,更に太い線,例えば溶接用のパワーケーブルで接続することでノイズによるトラブルが回避できた例もある。

(2) ノイズ源から遠ざかる。

ノイズの発生源である溶接電源などからロボットコントローラなどのコンピュータ機器をできる限り離して設置する。特にティグ溶接などの場合には機器間の距離のみならず,制御用のケーブル類も溶接用のパワーケーブルから離して引き回すことが効果的である。

更に,電気的な距離を確保するために,一次側電源も溶接電源と電子機器で別々の電源から供給することも効果的な場合がある。

(3) ノイズの侵入経路を断つ。

溶接自動システムでは,システムを構成するための各種の装置が電気的な信号で繋がれるが,これらを接続するケーブルは,しばしば距離が長いケーブルやノイズ発生源付近を経由してくる場合がある。このケーブルがノイズを拾うアンテナの役目を果たし,信号と一緒にノイズをも運んできて機器にノイズを侵入させる。これをくい止めるには,信号の授受を極力電気的に絶縁された方法で行う必要がある。プログラマブルコントローラなどでは,コモン側の線を各機器で分離したり,入力側をホトカプラで絶縁することが一般的に行われているが,ノイズのレベルが極めて大きい場合には,ホトカプラを飛び越えてノイズが侵入する場合がありやっかいである。

(4) ノイズを発生源で吸収する。

溶接自動システムでは,溶接機以外にもワークピースをクランプするための装置や,遮光カーテンなどの巻き上げ操作も電気的に行う場合があるが,これらの周辺機器が動作する際に発生するノイズにも注意を要する。

溶接のシステムでは,溶接機から発生するノイズに注目しがちであるが,溶接機以外のこれらの機器から発生するノイズが思わぬ悪さをすることがある。比較的大きな負荷,特にマグネットスイッチでON/OFFさせるような機器には,発生したノイズを吸収させるためのサージキラーなどの対策を施しておくことが基本である。

(5) ノイズで誤動作したら

まず,誤動作の原因が装置の故障なのか,ノイズによるものなのかを判断する必要がある。一般的に機器の故障であれば,誤動作するタイミングがランダムであるが,発生するタイミングに規則性が見られる場合には,ノイズによる原因が疑われるので,そのタイミングで動作する機器を洗い上げて,原因を特定し,対策方法を検討することになる。

〈射場 達也 / 2012年改訂[字句修正]〉

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センサ

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ノイズ対策

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