接合・溶接技術Q&A / Q07-08-09

Q溶接の自動化,ロボット化によって生産効率を高めるにはどうすればよいでしょうか。ロボット化して,能率アップをはかるための留意事項について教えて下さい。

業種別の生産形態によって自動化機器の適用概念は異なるため,ここでは,造船業を例にとり,“受注一品生産形態の大規模組立産業”における自動化推進の留意事項について回答する。

ロボットや自動化機器を有効に機能せしめるには,従来の古い生産形態を踏襲していたのでは効果が少ない。それらの導入を前提とした生産システムの変革が不可欠である。すなわち,ハードウェアよりもソフトウェアの変革の実現を先行する手順を踏む必要がある。新しい生産システムのデザインは工場の個別の事情で異なるであろうが,溶接の自動化を組立の自動化という総合的なテーマの中でとらえ,溶接だけの省力化のみならず,種々の間接省力効果を生み出そうとする総合的な生産技術の革新として進めることが,最も重要なことである。ロボット適用技術開発のポイントは,生産システムの改革による「作業ステージの短縮」と「作業密度を高める施工法」を編み出し得るかにある。

変革の方向として,まず考えられることは,屋外工事を作業環境の良い屋内工事にできるだけ取り込むという「作業の屋内化」を高める生産システムのデザインが必要となる。また屋内工事については,作業性の改善,自動化の拡大,ハンドリングの消減,管理密度の向上などを狙いとして「組立工事の上流化」が図られる必要がある。すなわち,サブ材は部品化され,大組立ブロックはサブ化の方向と,ユニットブロック化するなど,自動化機器がアクセスしやすいような形状でブロックを小型化して,作業の高度化,高密度化による能率向上が図られることになる。また,自動化機器の稼働率,適用率を高めるために,同型または類似の対象ワークにパターン化し,グルーピングを行い,ステージごとにアプローチすべき自動化の概念と,ロボットに期待する対象作業を経済効果の視点から分析し,経済効果の見合う作業については,「自動化対象組立ステージの設定」をすることになる。表1に自動化対象組立ステージの設定事例を示す。それぞれの専用ステージで最も合理的な自動化設備を導入し,集中的に自動化を図ることで,大きな省力・省人効果を狙うような生産システムの変革と連動した取組が大切で,経済性を無視した総花的な自動化への取組は生産ラインのフレキシビリティを阻害するし,避けるべきである。

ロボット化して能率アップをはかるための留意点は,①「工作精度の改善がロボットの利用には不可欠」という認識を働く者全員が共有すること。②「ロボット適用の経済効果は,ハードウェアよりもアプリケーションソフトウェアによって支配される」という点である。技能を持たない未熟練作業者でも扱えるシステムか?。一人複数台運転を可能ならしめるシステムか?。ロボット運転データは,オペレータ自身が容易に作成できるシステムか?。等が,ロボットの経済性評価の着眼点になる。

〈宮崎 建雄〉

このQ&Aの分類

センサ

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生産効率の向上

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