接合・溶接技術Q&A / Q08-01-01

Qろう付とは,溶融溶接(融接)とどこが違うのでしょうか。

ここで言う溶接が,アーク溶接やガス溶接を言っているとすれば,ろう付とは違う。アーク溶接やガス溶接では,溶接棒を溶かすと同時に母材(接合される方の材料を指す)も非常に多く溶ける。

しかし,ろう付では母材はほとんど溶かさない。ろう付はろう(溶接棒)を温度が高くなった母材の熱で溶かして,ぬれによって母材になじませて,接合(付ける)する方法である。普通の場合,母材はほとんど溶けない。

この2つの方法を,突合せ継手を例にとって比較してみたのが図1である。まず,(a)の普通のアーク溶接では,溶接前に点線で示したように,母材をガス切断あるいは機械加工によって,開先を取る。その中に溶接棒を溶かし,また,母材も溶かして溶接部を作る。(b)がろう付の場合である。母材はほとんど溶かされていない。

この2つを比較しても分かるように,ろう付はアーク溶接とは基本的に接合の状態が違う。ここで,両方の場合のすきまを比較してみると,アーク溶接では開先加工してあるため,上の方は非常に広く,狭い部分(ルート間隔という)も2mmもある。ろう付では,図に示してあるように,母材の間のすきまは0.2~0.02mmとアーク溶接の場合に比べ非常に狭いことが分かる。

ろう付において,母材を全く加熱せず冷えきっている場合は,図に示したような狭いすきまの外側から溶けたろうを流し込むとする。ろうは冷たい母材に触れるとすぐに固まってしまい,下の方には流れ込まない。これはろうをはがしてみると,すぐ分かる。また,この場合普通はろうが母材に全く付いていないはずである。

このようにろう付では,狭いすきまにろうが流れ込ますには,母材をろうの融点より高い温度に加熱しておくことが重要なことである。このような状態をろうが母材に「ぬれた」という。

ろう付では母材はほとんど溶けないと言ったが,ろうによって母材は溶かされることがある。その程度は1~10mm(1/1000~1/100mm)と非常に小さなもので,一般的にはほとんど溶けないといってもよい。しかし,そのようなわずかな場合でも問題になることがある。これはエレクトロニクス部品の接合などの非常に微細な場合である。

図1の(b)で示したような突合せ継手は,一般のろう付では推奨できない。接合部に曲げの力がかかった時には,ろうの強さが母材に比べて弱いため,すぐに壊れてしまう。また,気密や水密を要求される時も推奨できない。一般的には,ろう付では重ね継手が使用される。なお,ぬれや継手形状については他の項で述べてある。

〈恩澤 忠男〉

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ろう付

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融接との相違

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