接合・溶接技術Q&A / Q08-01-12

Qステンレス鋼をろう付するときにどのような点に注意すればよいでしょうか。

ステンレス鋼は鉄にクロムを加え,さらにニッケル,モリブデン,チタンなどを加えて機械的強さや耐食性,耐熱性を高めた高合金鋼で,種類も多く広い用途を持つ材料である。

ステンレス鋼の耐食性は,金属表面の安定な不動態皮膜(Cr2O3)に起因しており,ろう付ではこの皮膜を化学的に除去し,金属原子同士を直接接触させることが必要である。

基本的なステンレス鋼の種類としては,マルテンサイト系ステンレス鋼,フェライト系ステンレス鋼およびオーステナイト系ステンレス鋼の3種類があり,そのろう付性について表1に簡単に述べた。

ろう付法として次のような方法が使用されている。

(1) ガスろう付法

最も一般的な方法で,ごく普通に使用されているが,局部過熱しやすいので加熱の仕方に注意することが必要である。過熱によって生じた厚いクロムの酸化皮膜は強固でフラックスだけで除去することは困難である。ろうとしては,銀ろうが適しており,低温で活性のよいフラックスを使用し,素早くろう付をすれば,比較的やさしくできる。

(2) 高周波ろう付

この母材は高周波ろう付に適しているが,熱伝導が悪いことと高周波電流の表皮効果によって,局部過熱になりやすい傾向があることに注意が必要である。

熱伝導によって中心まで熱が行きわたるような出力調整やコイル形状あるいはワーク回転などを工夫して均熱を図ることがポイントである。ろうとしては銀ろうが適しており,通常リングやペーストなどの置ろう形式で,低温高活性型のフラックスと組み合わせて使用する。

(3) 水素雰囲気ろう付法

通常,連続式水素炉を使い,比較的小型の部品の大量生産に利用されている。-60℃以下の低露点の水素ガス雰囲気で,フラックスなしの無酸化光輝ろう付ができる。連続水素炉による熱サイクルは,急熱急冷になるため,ステンレス鋼に適しており,ろう付と熱処理を同時に行える。ろうとしては,ニッケルろうあるいは銅ろうが主で,場合により銀ろうや金ろうを使用する。

(4) 真空ろう付法

通常10-2~10-4torr真空雰囲気で,ステンレス鋼の無酸化ろう付をする。それ以上の高真空では,クロムやろう成分の蒸発があるので使用されない。

一般に,大物部品のろう付が多く,真空炉の特性からも長時間加熱になるため,母材への熱影響やろう成分の拡散は多くなる。

なお,量産の場合はタクト駆動の半連続式の真空炉が使用される。ろうは水素炉の場合とほとんど同じである。

〈恩澤 忠男〉

このQ&Aの分類

ろう付

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ステンレス鋼のろう付

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