接合・溶接技術Q&A / Q09-03-06

Q鉄筋突合せ継手のガス圧接の特徴,施工および検査での留意点を教えて下さい。

ガス圧接は,1939年に米国にてレールの接合に使用したのが始まりとされている。日本においても当初レールが研究の主体で,鉄筋やパイプの接合にも適用されてきた。しかし,1955年以降は,日本でのみ適用が盛んとなった。これは日本においては工法や検査法の研究開発が精力的に行われたためと考えられている。

ガス圧接は,前出のQ9-3-1に示したとおり,溶接法としては,固相接合機構による圧接法と定義される。施工上の特徴は下記の通りである。

長所としては,

① 電力を使用しない簡便な装置で,現場で早く,しかも確実に鉄筋を一体化できる。

② 継手強度は母材と同等,またはそれ以上である。また,固相接合の利点として,中炭素鋼への適応が容易である。

③ 継手部はわずかなふくらみを残すのみであり,配筋が整然となるので,コンクリートの打設性がよい。

④ 非破壊検査によって簡単に品質を確認できる。

一方,短所としては,

① 継手の品質は圧接作業者の技量・知識に負うところが大きいので,有資格者の施工が必要である。

② 雨・雪,風などの天候の影響を受けやすい。

③ 鉄筋は圧接時の加圧による圧縮(アプセット)量の確保のため縮み量が生じる。このため,縮み代(圧接する鉄筋径とほぼ同じ長さ)を考慮しておくことが必要となる。

④ 太径鉄筋への圧接時間は長く,また,火炎も強いので作業者にとっては過酷な労働となる。

本工法は,ガス炎を熱源とするため機動性がよい反面,太径鉄筋の手動圧接は3K作業と言える。ちなみにD25(直径25mm)以下の鉄筋の圧接時間が1~2分であるのに対して,D51(直径51mm)では5~6分は必要となる。重筋作業の緩和のためにも,品質の安定という点からも自動圧接の適用が望まれ,写真1に示すようにいくつかの工事に適用されている1)

次に,ガス圧接工法の留意点を述べると,まずガス圧接の基本条件は,他の圧接と同様加圧,加熱,圧接時間である。そして継手品質を確保するための施工上の重要条件は,鉄筋の端面処理,加熱炎のシールド,圧縮量の確保,そして適切な鉄筋材料の選定である。これらの適切な施工を満たすため,(社)日本圧接協会では「鉄筋のガス圧接工事標準仕様書」を発行しており,関係機関で利用されている2)。また,技量資格についても,厳格な検定試験に合格した資格者のみが施工を許されるといった品質管理の充実が図られている。

さらに,品質管理を確実なものとするために,非破壊検査方法が開発され,なかでも図1に示す斜角2探触子法による超音波探傷法の適用が一般化している3)。この方法の特徴を挙げると,図2に示すように,現場のガス圧接のデータ蓄積の結果から,超音波探傷の反射波の強さでJIS規格引張強さをほぼ保証できるところにある。また,切取による引張試験(破壊試験)に較べて,統計的品質管理手法として優れていることから,超音波試験法のより一層の普及が期待されている。

参考文献

1)津田:自動ガス圧接工法の開発動向,平成8年度圧接技術調査研究報告集,(社)日本圧接協会,pp.41-61,(1997)

2)(社)日本圧接協会編:鉄筋のガス圧接工事標準仕様書,(1994)

3)(社)日本圧接協会編:鉄筋のガス圧接部の超音波探傷検査,(1994)

〈原沢 秀明〉

このQ&Aの分類

突合せ継手

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ガス圧接

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