接合・溶接技術Q&A / Q09-07-01

Qミルハウジングは,通常鋳鋼で製作されますが,溶接構造で製作することの可能性,利点・欠点,施工方法,注意事項などについて教えて下さい。

最近の圧延設備市場においては,高品質,短納期,低価格がきびしく要求されるようになってきており,その施策の1つとしてミルハウジングの溶接構造化が指向されるようになった。このミルハウジングを溶接構造化する場合重要なことは,超極厚材料の購入とその溶接である。

超極厚材料として採用したのは,鉄鋼メーカが製造している鋼魂(スラブ材)である。このスラブ材は,500mmを超える超極厚鋼板まで製作出来,内部品質にもすぐれている。また,化学成分の規格値を表1に示すが,SS400相当で,溶接性を考慮し低炭素化が図られている。

溶接方法としては,極厚板溶接に最適なエレクトロスラグ溶接(ESW)または,狭開先溶接(NGW)の採用が一般的である。

溶接構造化の利点は,均一な材料が入手可能となったため,大型重量物の製作が可能となったことである。

図1にミルハウジング溶接構造化の例を示す。購入した極厚鋼板を所定の寸法に切断し,組立溶接する方式が品質的にも良いと考えられる。また,鋳鋼と組合わせて製作する場合は,鋳鋼の開先部を予め超音波探傷検査等で内部品質を確認してから使用することが望ましい。

図2にエレクトロスラグ溶接の原理を示す。開先ギャップを30~50mmとし,母材を組立後,両側に水冷銅当金を当て底板側より溶接をスタートさせる。電極ワイヤ数は,母材の板幅によって異なり,厚くなるに従ってワイヤ数を多くする。電極間寸法は100mm程度が一般的である。

写真1にエレクトロスラグ溶接後の状況を示す。この溶接に当たっては,銅当金のすきまからの湯のたれ落ち,通電不良によるトラブル等に注意が必要である。

溶接構造の場合は,部材の組合せによりいろいろな形状のものが製作できるが,継手構造,変形,熱管理には注意する必要がある。継手位置は高応力部であるコーナ部を避け,直線部にする方が望ましく,また,継手は非破壊検査(超音波探傷検査,磁粉探傷検査,浸透探傷検査等)を行い,内部品質を確認しておく必要がある。変形については,組立時逆ひずみを設けたり,拘束材を取り付けて変形を抑える等の変形管理を十分に行う必要がある。また,溶接終了後溶接部全体の応力緩和のため,応力除去焼鈍を行う。焼鈍に当たっては,できるだけ全体の温度が均一になるようゆっくりと操作し,その際の上昇・下降温度は50℃以下が望ましい。

〈桑原  広〉

このQ&Aの分類

ミルハウジング

このQ&Aのキーワード

施工法製品名:ミルハウジング材質:軟鋼施工法:ESW

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