接合・溶接技術Q&A / Q09-07-03

Q蒸気タービンダイヤフラムは,複数個のノズル材(13Cr鋼)をリング状に配置した複雑な構造ですが,その溶接方法および注意事項等について教えて下さい。

蒸気タービンダイヤフラムの構造は,大別して図1に示すごとく複数のノズル翼をスペーサを介して内外輪に溶接する構造と,ノズル翼を直接内外輪に溶接する構造に分けられ,設計の仕様条件により決められる。

スペーサとノズル翼溶接には,手溶接,MAG溶接,内外輪との溶接は,MAG溶接,サブマージアーク溶接が用いられる。しかし,ノズル翼材質が13Cr鋼であり溶接熱影響に割れ(低温割れ)が発生しやすい。この対策として組立後,全体を予熱して溶接を行っているのが一般的である。特にサブマージアーク溶接で内外輪を溶接する場合,多層盛溶接となり拘束も大きく,溶接変形を防止する拘束ステー,更に作業途中での中間焼鈍実施も検討する必要がある。

これらの施行上の問題を解決するため,内外輪とスペーサ溶接を電子ビーム溶接で行う方法もある。電子ビーム溶接の場合,スペーサの両サイドから溶接するが,特にスペーサと内外輪との開先ギャップを0.2mm以下に組み立てること,および溶接中に発生する熱起電力による磁場の影響を考慮する必要がある。

一方,蒸気タービン性能向上,原低構造タイプが要求される中,タービン動翼の長翼化が急速に進み内外輪にノズル翼を直接溶接するフィレット溶接タイプが大径ダイヤラムに大幅に採用され始めた。この溶接は,手溶接,TIG溶接でステンレス系,インコネル系の溶接棒を用いて施行していたが,複合ワイヤの開発が進みMAG溶接および溶接ロボットによる自動溶接化へと移行している。

長翼化が進む中,ノズル翼の製造法も13Cr鋼の精密鋳造翼では単品重量が増えることから計量化を図る目的で,ホローノズル翼化へ進んでいる。

写真1は40″ホローノズル翼を用いたダイヤフラムの外観を示す。ノズル翼をホロー構造化することにより,64%重量低減が図れた例である。

写真2にホローノズル翼の外観の一例を示す。高精度が要求されるため,出口部のみ接合する一体成形構造となっている。更に翼出口部は,変形防止を図るため抵抗溶接で接合した。

写真3に,この接合部の断面マクロを示す。横断面,縦断面いずれも良好に接合されている。

図2に接合部の硬さ結果を示す。材質はSUS405で接合部の硬さはHV300程度であるが,625℃×0.5h焼鈍後は母材と同等の硬さを示した。長翼化は今後益々進み,52″翼への実用化も進んでいる。

〈小林  計 / 2012年改訂[誤植訂正]〉

このQ&Aの分類

蒸気タービン

このQ&Aのキーワード

溶接施工法製品名:蒸気タービン材質:13Cr

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