接合・溶接技術Q&A / Q09-07-04

Q最近ガスタービンの高効率化に伴い使用温度が1300℃クラスが一般化されています。使用材もCo基,Ni基等の超合金が使用されていますが,経年劣化材も含めた最適溶接方法は何か教えて下さい。

近年,ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル発電の需要が増え,更に高い発電効率を得るため,ガスタービン入口燃焼温度の高温化が進んでいる。第1世代(1100℃級),第2世代(1300℃級)に進み,第3世代(1500℃級)を迎えようとしている。

図1にガスタービン全体図例を示す。特に高温化により溶接が重要となるのは,ライナ,トランジションピースが挙げられる。使用材質は,Ni基超合金,Co基超合金が用いられ,板厚は4.8mm以下の比較的薄板である。

表1はNi基超合金の化学成分例を示す。ハステロイXが主流であったがAl,Tiを添加しg′析出強化させたN263が最近多く用いられるようになった。これらの材質は高温割れが発生しやすく,低入熱溶接が要求され一般にTIG溶接が多く使用されている。しかし,性能向上が高まる中,溶接ロボットによるTIG自動溶接,更にレーザ溶接へと進んできた。レーザ溶接を適用する場合,組立時の開先(工型)のギャップ,板厚の目違いが溶接後の品質に大きく影響する場合がある。

図2はレーザ溶接におけるN263-4.8tの突合せ溶接時の開先ギャップと目違いの影響を調査した結果を示す。この結果から開先ギャップは0.3mm以下とし,開先目違いは0.5mm以下にする必要がある。

一方,使用条件が高温下で過酷であることから継手に対し,経年劣化も考え溶接法を検討することも重要である。

図3はN263材にTIGおよびレーザ溶接を行い,800℃3000時間,9000時間の経年模擬処理を行い,780℃での高温特性を調査した結果を示す。いずれも溶接も溶接後,溶体化(1150℃×0.5h)+時効処理(802℃×8h)を実施後,経年処理を施した結果である。引張り強さは,いずれの溶接法も母材と同様に経年処理時間の経過と伴に高温強度が低下する。溶接部についてみると,レーザ溶接継手の方がTIG溶接継手より高い値を示している。

一方,伸びについて見ると,母材は処理時間の経過に伴い値が増加してくるが,溶接継手の場合,9000時間より3000時間の方が良い値を示した。この理由としては,g′相が処理時間の経過により成長したと考えられるが,現状では明確な理由は不明である。しかし,TIG溶接に比べ,レーザ溶接が良い値を示したことが確認されている。

〈小林  計 / 2012年改訂[字句訂正]〉

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ガスタービン

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溶接施工法製品名:ガスタービン材質:Co基,Ni基等の超合金

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