接合・溶接技術Q&A / Q10-03-02

Qペンストックの補修および補強が必要となるのは,どのような時ですか。また,その判断基準を簡単に教えて下さい。

ペンストックの補修,補強または取換えが必要となるのは,以下に示すような原因で安全性に支障をきたすと考えられる場合である。

① 経年により管厚が全面的もしくは局部的に減少した場合。

② 製作年代の古い管において,その溶接継手部に現状の基準を超える欠陥が内在し,継手効率が著しく低い場合。

③ 発電時等における振動が著しい場合。

④ 地盤の移動や山崩れなどの天災が原因で,建設当時には予想されなかった変形が生じた場合。

⑤ 鋲接部の腐食による漏水が甚だしい場合。

(1) 管厚減少

ペンストックの管厚は,腐食と摩耗によって次第に減少する。したがって,管厚測定を必要に応じて行わなければならない。管厚測定は,超音波板厚測定器による方法および精密検査として代表個所の試験片採取によって調査する方法がとられている。また,局部的な腐食については目視およびモデリングによって調査が行われる。

ペンストックの補修および補強の判断基準は,水門鉄管技術基準によると,『管厚測定の結果,腐食または摩耗による管厚の減少が認められる場合,管胴の局部最大応力(図1参照)が使用材料の90%,または管胴の平均応力(内圧による円周方向の引張応力)が使用材料の65%を超えて破壊の恐れがある時。』となっている。

この場合の管胴の局部最大応力は,円筒形の凹みのある鋼板に引張りが作用した状況での凹みの縁に集中する最大引張応力を求める次式,あるいはこれと同等以上の精度を持つ式によって算出する。

 

smax

3

s   d

t´

1+2d

t

 

smax

:凹みの縁の最大応力(N/mm2

s

:凹みの無い場合の平均応力(N/mm2

t´

:凹みの部分の最小厚さ(mm)

t

:鋼板の平均厚さ(mm)1)

(2) 溶接欠陥

溶接継手部の品質確認は,RT(放射線透過試験)またはUT(超音波探傷試験)で行い,欠陥の形状を把握するとともに,代表箇所の試験片採取によって,継手の静的な機械的性質を調査し,破壊力学の手法を用いて脆性破壊に対する安全性の検討を行い,補修または補強実施の判断材料としている。

(3) 振動

ペンストックの振動は,水圧変動により生じる。この水圧変動の発生原因は,次に示すものが考えられる。

① 水車の回転数によるもの。

② ランナの羽根枚数によるもの。

③ 吸出管内の水の旋回流によるもの。

以上のような原因で,水圧変動と共振して,ペンストックの振動が著しい場合には,疲労・応力腐食等の恐れがあるので,振動の軽減が必要となる。

振動軽減対策を行う判断基準は,水門鉄管基準によると,『片振幅dが,D0/2000(D0:管直径)を超えた場合という条件が一般的である。』と解説されている。

振動の軽減対策としては,吸出管内への空気の送入等により振動源である水圧変動を除く方法等が挙げられる。しかし,このような方法の採用が難しく,共振が原因の場合は,ペンストックの固有振動数を変えるために,補剛材の新増設によって断面の剛性を増加する対策が一般的に採られている。また,アンカブロックの増設等が行われる場合がある。

参考文献

1)水門鉄管技術基準(抜粋)

〈松浦 十四彦〉

このQ&Aの分類

ペンストック

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補修・補強(時期)

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