- 接合・溶接技術Q&A / Q10-10-05
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Q使用期間中,低温用鋼(2.5%Ni鋼,3.5%Ni鋼,9%Ni鋼)溶接部に発生した疲労割れおよび溶接ボンド脆化割れの補修溶接について教えて下さい。
低温用鋼は,-10℃以下で使用されるので使用中,経年劣化を起こすことはない。したがって,溶接部に発生した疲労割れおよび溶接ボンド脆化割れは,主として溶接施工上の問題に起因する。補修部における材質変化はないので,基本的には製作時の溶接要領に準じ,次の補修溶接要領に従って行う。とくに溶接部の靭性低下の要因の除去について注意する。
(1) 欠陥の除去
欠陥はグラインダーまたはアークエヤーガウジングで除去する。アークエヤーガウジングを使用した場合,表面に炭化物,窒化物が形成されるが,これらは溶接金属の靭性を低下させるので,グラインダーにて金属表面が現れるまで平滑に仕上げる。MTまたはPTにより欠陥が完全に除去されたことを確認する。
(2) 溶接要領
1)2.5%Ni鋼および3.5%Ni鋼
① 母材と同一組成の溶接材料を使用し。TIGまたは被覆アーク溶接で行う。
② 入熱が過大になると溶接金属および溶接ボンドの靭性が低下するので,低入熱多層盛溶接を行う。入熱範囲を15,000~35,000J/cmとする。
③ 極端なショートビードを避けるとともに,100℃程度の予熱を行う。
④ 溶接終了後は,溶接部を平滑に仕上げ,応力集中が起こらないようにする。
⑤ PWHTを行う場合,その温度は母材の焼戻温度以下,最低保持温度を550℃とし,空冷する。
2)9%Ni鋼
① インコネル系溶接材料を使用し,TIGまたは被覆アーク溶接で行う。
② 溶接ボンドの靭性を保持するために,溶接入熱範囲を10,000~30,000J/cmとする。
③ とくに予熱は行わないが,層間温度を150℃以下とする。
④ 被覆アーク溶接棒を使用する場合,融合不良やスラグの巻込みが生じないように注意する。なお,クレータ割れが発生しやすいのでクレータをグラインダーで除去する。
⑤ PWHTは2.5%Ni鋼,3.5%Ni鋼の場合に準じて行う。
参考文献
1)(社)日本溶接協会 化学機械溶接研究委員会 補修溶接信頼性小委員会:補修溶接施工法指針,(1987)2)(社)溶接学会編:溶接・接合便覧,丸善(株),pp.928-931,(1990)
3)(社)日本高圧力技術協会 応力焼鈍(SR)委員会編:応力焼なまし基準とその解説,(株)日刊工業新聞社,pp.106-121
〈清水 茂樹〉