接合・溶接技術Q&A / Q11-01-03

Qレーザや電子ビーム,イオンビームなどのビームエネルギー源について,粒子(荷電粒子,光子)1個のエネルギーとビームパワー密度とは,どのような関係にあるのか教えて下さい。

ビームエネルギーは,荷電粒子や光子などの構成粒子群の流れである。そのパワー密度(エネルギー流束)q(J/m2s=W/m2)は,流れに垂直なビーム断面の単位面積を単位時間当たりに通過するエネルギーであり,粒子1個が保有するエネルギーE(J/個),ビーム内の粒子密度n(個/m3)および粒子速度v(m/s)と次式のように関係づけることができる。

 

qEnv

(1)

 

電子ビーム,イオンビーム,原子・分子ビームは,電子やイオン,原子,分子のような質量粒子から成り,構成粒子1個のエネルギーに注目すると,運動エネルギーが主体となっている。粒子の運動エネルギーには,並進,振動,回転エネルギーがあるが,振動および回転エネルギーは複数の原子から成る分子の場合に現れる。質量m(kg)の粒子の並進エネルギーは次式で与えられる。

 

E

1

mv2

(2)

2

 

電子ビームおよびイオンビームの場合,電界により加速され,荷電粒子の速度は次式のように加速電圧で決定される。ビームを構成する各粒子の速度は,原理的にはすべて等しくなる。

 

EeV

(3)

 

ここで,e:素電荷量(1.602×10-19C),V:加速電圧(V)である。したがって,加速電圧V(V)のパワー密度は,(1)~(3)式から次式で与えらる。

 

(4)

 

レーザビームや光ビームは光子(光量子)の流れであり,光子エネルギーは次式で与えられる。

 

(5)

 

ここで,:プランク定数(6.63×10-34J・s),n(=w/2pc/l):光波の振動数(Hz),l:波長(m),c:光速度(真空中ではC0=2.998×108m/s)である。したがって,レーザビームのパワー密度は式(1),(5)から次式で与えられる。

 

qhnnc

(6)

 

光は粒子性を有するとともに干渉や回折などを起こす波動性を持ち,理論的にはマックスウエルの方程式に従う電磁波として表される。z軸方向に進行する電磁波のエネルギーは,次式のようにポインティングベクトルの時間平均<Sz>AV(W/m2)で与えられる。

 

<Sz>AV

1

 ecE02

(7)

2

 

ここで,E0=:電磁波の電界強度(V/m),e:誘電率(真空中ではe08.854×10-12F/m)である。これはレーザーのエネルギー流束(パワー密度)であり,(6)式から光子数密度は次式で与えられる。

 

n

<Sz>AV

eE02/2

(8)

hnc

hn

 

レーザビームは位相のそろった単一波長光源であり,質量粒子の電子ビームやイオンビームに対応している。赤外域から可視光,紫外線,X線まで発生が可能であり,計測,通信,分析,加工など目的に応じて波長が使い分けられている。

〈平田 好則〉

このQ&Aの分類

エネルギー加工の基礎

このQ&Aのキーワード

ビームエネルギー源

Q&Aカテゴリ一一覧