- 接合・溶接技術Q&A / Q11-01-04
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Qガス炎やプラズマジェットなどのパワー密度はどのように考えるのでしょうか。
プラズマや酸素アセチレン炎など高温ガス体では,分子・原子,イオン,電子などが熱運動しており,それぞれランダムな方向に衝突を繰り返しながら飛行している。粒子の運動エネルギーの平均値(J/個)は次式のようになり,気体温度が高くなると大きくなる。
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(1) |
ここで,m:粒子質量(kg),v:粒子速度(m/s),kB:ボルツマン定数(1.38×10-23J/K),T:気体温度(K)である。
熱源として利用することを考えると,パワー密度は熱流束ベクトルであり,一方向成分の粒子の流れに注目する必要がある。自由空間における分子・原子などの質量粒子は3方向(x,y,z方向)に運動している。いま,粒子速度v(vx,vy,vz)の速度成分がvxからvx+dvx,vyからvy+dvy,vzからvz+dvzの範囲にある粒子密度をdnとすると,次のボルツマン分布に従う。
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(2) |
(2)式からx方向の粒子束jx(個/m2s)は,次式のようになる。
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(3) |
Q11-1-3に示した(1)式ならびに上の(1),(3)式から,高温気体のパワー密度は次式で与えられる。
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以上から,高温気体が有するパワー密度は,温度もしくは粒子密度が高くなるほど,大きくなる。
なお,励起状態にある原子・分子(ラジカル)やイオンは,原子・分子の電子エネルギー準位が高い状態にあり,照射された材料表面とさまざまなエネルギー交換による相互作用をする。
〈平田 好則〉