- 接合・溶接技術Q&A / Q11-01-07
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Qレーザビームの集光性について,発振ビームの直径やモード,集光用のレンズ,ミラーの焦点距離,材質などの影響を教えて下さい。
シングルモードのレーザビームを,焦点距離fのレンズで集光した場合に得らる最小スポット径(直径)D0の理論的限界は,波長をl,入射ビーム直径をDとすると近似的に以下の式で示される(図1参照)。
D0= |
4lf |
(1) |
|
pD |
すなわち,小さなスポット径に集光するには,波長の短いレーザが有利であり,かつ,入射ビーム径を大きくし,短い焦点距離のレンズで集光することが望ましい。一方,実際に産業用に使われているレーザはシングルモードでないことが多く,回折限界がシングルモードビームと比べてどの程度大きいかを示すM2という値が用いられる。1)すなわち,波長lがM2lという波長を持ったシングルモードのビームと見なすことができ,(1)式は,以下のように示される。
D0= |
4M2lf |
(2) |
|
pD |
集光光学系にはレンズまたは放物面鏡等が用いられる。波長の長いCO2レーザの場合,ZnSe,KCl,GaAs等がレンズ材料として用いられるが,透過率が100%ではないため,大出力になるとレンズ内で温度分布ができ,焦点位置が時間的に変化する現象(熱レンズ作用)が起こる。放物面鏡の場合には,ミラーの背面から水冷することができるため,このような現象が起こりにくいと言われている。
参考文献
1)武中:溶接技術,1,産報出版(株),pp.157-165,(1993)〈塚本 進〉