接合・溶接技術Q&A / Q11-01-09

Qレーザ溶接やレーザ切断においては,焦点位置の確認や加工部でのパワー密度分布が重要とされていますが,その計測方法,モニター方法について教えて下さい。

レーザ出力や集光レンズの焦点距離などがわかっていると,レーザ加工性能はある程度推測することができる。しかし,レーザ加工の結果を最も支配するのは加工点でのレーザビームの状態であり,集光状態を知ることはレーザ加工において重要なことである。

例えば,CO2レーザビームは1kW程度の出力で0.2mm径ぐらいに集光することができ,パワー密度は106W/cm2レベル以上にも達し,ティグアーク熱源の100倍もの密度である。このため,集光ビームの集光径,焦点位置および強度分布などを測定するには,集光径が小さいので分解能を要する。しかもパワー密度が非常に高いのでプローブの耐久性が必要である。焦点位置付近は加工ヘッドとワークが近く,加工中のモニターが非常に困難であるなどの問題が多くある。

現在,レーザビームの集光状態を計測するものとして,ピンホールプローブ(直径100mm前後)でサンプリングされたレーザビームを焦電検知器で精密に計測する装置などが開発され,市販もされているが比較的高価なものである。このような計測装置では,測定位置を集光方向に移動させて計測を繰り返すことで集光ビームの焦点位置,強度分布,パワー密度などが計測できる1,2)。図1に計測したCO2レーザビームの焦点位置での強度分布例を示す。

また,各種簡易計測法も提案されている。アクリル(PMMA)はCO2レーザビームをよく吸収し,熱伝導率が低いため,レーザビーム照射により蒸発した部分の形状から集光ビームの強度分布,ビーム径,焦点位置,などを知ることができる。

ビーム軸に垂直にアクリルを高速で通過させて形成した蒸発溝の断面形状から,集光ビームの強度分布と集光径が求められる3)。焦点位置だけなら,傾斜したアクリルを高速走引し,蒸発溝の表面幅の最も狭いところを焦点として求める4)。図2,3に蒸発溝の断面形状および傾斜アクリル法で採集した蒸発溝の例を示す。

これらの方法は後処理を必要とするが,走引速度やアクリルの角度など計測条件をしっかりすれば比較的精度よく計測できる。

参考文献

1)丸尾,宮本ら:溶接学会全国大会講演概要集,(社)溶接学会,第45集,pp.42-145,(1990)

2)G.Herziger,et al.:Proceedings of LAMP '87,High Temperature Society of Japan,pp.37-41,(1987)

3)丸尾,宮本ら:溶接学会論文集,(社)溶接学会,第3巻,第1号,(1985.2)

4)レーザ熱加工研究会,レーザ加工機のビーム計測と光学部品の評価技術,レーザ熱加工研究会,p.72~,(1991.3)

〈西川 和一〉

このQ&Aの分類

レーザ熱源の性質と制御

このQ&Aのキーワード

パワー密度分布

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