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鋼はなぜ降伏するのですか。 |
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材料を引張試験すると,図1に示すような応力s(荷重Pを試験片の平行部断面積A0で割った値)とひずみe(引張前の標点間距離をL0,引張後の標点間距離をLとすると,e=(L―L0)/L0)の関係曲線が得られる。図1において,応力とひずみが比例関係にあり,いったん荷重を加えてひずみを与えた後,荷重を取り除くとひずみが完全に零に戻るような限界点Eを弾性限,荷重を取り去ってもひずみが残るようになる最小の応力を降伏応力(yield stress,sy)という。鋼材を引張ると,降伏点までは伸びがほとんど認められず弾性変形をするが,降伏点を過ぎると急に伸びが大きくなり塑性変形が生じる。 焼鈍した低炭素鋼を常温で引張試験すると,図2に示すように顕著な上降伏点と下降伏点が現れる。上降伏点に達すると,試験片に最大せん断応力方向に平行なリューダス帯と呼ぶ塑性変形帯が出現し,下降伏点の水平部の範囲ではそれらのリューダス帯の幅がしだいに拡大し,それが試験片全域を覆った時に下降伏点水平部が終わり,以降試験片全体がマクロ的に一様に塑性変形するようになる。 降伏点は,鉄鋼中に固溶原子として含まれる炭素や窒素等が転位の動きを固着することにより現れる。すなわち,鉄鋼中の転位はC原子またはN原子によって固着される結果,転位を動かすのにそれだけ大きい応力を要する。これが上降伏点を与えると考える。固着に打ち勝つだけの外力に達すれば,転位はC原子やN原子の固着からはずれ,小さい応力で運動することができる。これが下降伏点を与える。 |
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〈小溝 裕一〉 |
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