接合・溶接技術Q&A / Q11-03-07

QCO2アーク溶接の際に安全衛生上どんな点に注意したらよいか教えて下さい。

CO2アーク溶接は,安全衛生の面から被覆アーク溶接と比較して次の点が大きく異なる。

① 小径,大電流を使用するため電流密度が大きい。したがって,アーク光より発する有害放射(紫外線,可視光,赤外線)が大きい。

② 溶接ヒュームの発生量(mg/min)が多い(表1参照)。

③ 一酸化炭素(CO)の発生が多い。

上記のうち,③のCOは,シールドガスとして用いる炭酸ガス(CO2)がアーク熱によって解離して生ずる。

COは,ヘモグロビン(血色素)と酸素の250倍もの親和性をもっているため,組織への酸素の運搬能力を低下させることにより酸素欠乏をひき起こす。血中のCOヘモグロビン濃度が80%で急性死亡,5%で中枢神経系障害が発生する。COは,蓄積性がないので慢性中毒は起こさないが,軽症の急性中毒が繰り返されると,中枢神経系障害や心筋障害によって,疲れやすさ,頭痛,めまい,もの忘れなどの症状がでるといわれている。

このように人体に有害なCOは,溶接ヒュームと異なり眼に見えないので,ともすると対策が疎かになるきらいがある。

CO2アーク溶接と被覆アーク溶接のCO発生状況を8m3のテストチャンバにおいて調査した結果を図1に,また,CO2アーク溶接のアーク点近傍のCO拡散状況を図2に示す。

図1および2が示すようにCO2アーク溶接の際に発生するCOは,狭あい場所や空気の流通の悪い箇所において長時間作業することは,一酸化炭素中毒に至らないまでも,軽症の急性中毒にかかる危険性が十分あるので,そのような懸念のあるところは,JIS Z 3952(溶接作業環境における測定方法)により環境測定を行い,安全を確認する必要がある。

環境が悪い場所において溶接を行わなければならない場合には,ろ過式の防じんマスクでは防護できないので,吸気式呼吸用保護具すなわち着用者が作業する環境以外から,呼吸に用いる空気を供給する方式のホースマスクまたはエアラインマスクを用いなければならない。

〈小笠原 仁夫 / 2012年改訂[字句修正]〉

このQ&Aの分類

安全・衛生

このQ&Aのキーワード

CO2アーク溶接の衛生管理

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