接合・溶接技術Q&A / Q11-03-08

Qアーク溶接作業場の環境管理は,どのようにすべきでしょうか。

アーク溶接作業を取り巻く作業環境は,溶接の際に発生する粉じん(溶接ヒューム),ガス,有害光線,光熱,騒音などによって著しく汚染されている。それらから作業者を保護する対策を講ずる必要があるが,ここでは,そのうち溶接ヒュームからの保護について記述する。

毎年,労働省が実施している「じん肺管理区分決定状況実態調査」によれば,溶接作業者に多くのじん肺有所見者がみられる(図1)。

じん肺は,粉じんを吸入しなければかからない病気であるから,作業場からじん肺の要因となっている溶接ヒュームを,全体換気,局所排気等の工学的手段により取り除き,良好な作業環境を維持することが最も基本的なことである。

総合的な作業環境管理を推進するためには,企業としての安全衛生に関する管理機構を確立しておくことが大切である。そして,まず,作業場の気中における粉じん濃度を測定することからはじめる必要がある。測定方法は,JIS Z 3950(溶接作業環境における粉じんの濃度測定方法)により行い,WES 9007(溶接作業環境管理基準)で定めている管理濃度3mg/m3以下での環境濃度管理が大切であろう。

ここで注意しなければならないことは,WESで定める管理濃度は,あくまでも,炭素鋼を対象に設定したもので,めっき鋼,ステンレス鋼,高合金鋼等については,さらに厳格な数値による環境管理が必要になる。

現在,アーク溶接作業場は,法による作業環境測定の義務付けはないが,特定粉じんについては,測定方法および得られた測定値による作業環境評価基準も詳細に決められているほか,測定者も,国家試験に合格し,その上指定講習機関が行う講習を終了した作業環境測定士が行うことが義務付けられている。

作業場の粉じん濃度が高値を示した場合には,速やかに改善措置を講じてそのレベルを低下させなければならない。この際に,前述したように全社の安全衛生に対する管理機構が確立されていないと,改善計画・提案が‘絵に描いた餅’になりかねない。作業環境の粉じん濃度の低減は,溶接作業者のみならず,周辺で働く他業種の作業者をじん肺にかかる危険から取り除いてやることからも,非常に大切なことである。

〈小笠原 仁夫 / 2012年改訂[字句修正]〉

このQ&Aの分類

安全・衛生

このQ&Aのキーワード

作業環境管理じん肺

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