Q&A1000カテゴリ検索に戻るQ&A1000サイトマップに戻る  (社)日本溶接協会/溶接情報センター 

 

 

The Japan Welding Engineering Society

  

   

▼No.

Q11-03-15

 

▼小分類

安全・衛生

 

▼キーワード

防じんマスク

 

 溶接技術教育シート
  (IIWシラバス)
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溶接作業者は,防じんマスクの着用が法的に義務付けられていますが,その周辺で働く作業者も着用する必要がありますか。

  

  

溶接作業者は,アーク発生場所に近接していることが多いため,そこから発生する高濃度の溶接ヒュームを吸入するおそれがある。このため,粉じん障害防止規則では,溶接作業を「粉じん作業」と規定し,粉じんの発生を抑えるなどの対策をするか,防じんマスクなど有効な呼吸用保護具を着用することを義務付けている。溶接作業では,ヒュームの発生を抑えることは,技術的に難しい面が多いため,防じんマスクなどの着用が不可欠である。

溶接作業の周辺で働く作業者の場合,粉じんの発生を伴う作業を行っていなければ,「粉じん作業」には該当しないので,法的には,防じんマスクなどの着用の義務は無いことになる。しかしながら,考慮すべきことは,作業者が粉じんを吸入するおそれがあるか否かということである。

溶接によって発生したヒュームは,熱による空気の上昇流に乗って上昇して行くが,体内へ沈着しやすいとされる小さな粒子については,上昇だけでなく周囲への拡散も大きい。また,換気装置などが設置されていない作業場や,それらが設置されていても換気が不十分な作業場では,一端上昇した溶接ヒュームが再び下降して,作業場周辺に滞留することになる。したがって,作業者が行動する場所での粉じん濃度が管理濃度と比較して低いことが確認されている場合を除いて,防じんマスクなどを着用することが望ましい。作業内容だけで,「粉じん作業」ではないと判断し,防じんマスクを着用しなかったために,じん肺が発生したという例も少なくないので,注意が必要である。

なお,粉じん障害防止規則における「防じんマスクなど有効な呼吸用保護具」とは,具体的には,防じんマスク,電動ファン付き呼吸用保護具(以下,PAPR:Powered Air Purifying Respirators)および送気マスクのことである。この内,送気マスクは,狭い閉鎖空間などの作業で,酸素欠乏のおそれがある場合や,溶接ヒュームなどの濃度が著しく高くなる場合などに使用されるものである。通常の溶接作業場では,防じんマスクまたはPAPRの使用が適している。

防じんマスクについては,労働省が国家検定を行っているので,これに合格したものを使用しなければならない。PAPRについては,JIS T 8157[電動ファン付き呼吸用保護具]で規定されたものを使用しなければならない。


〈山田 比路史〉